ダイヤモンド社のビジネス情報サイト

「ロボット先進国」の自負は日本の幻想?
福島原発事故に立ち向かう米国製ロボットの存在感

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第141回】 2011年4月20日
著者・コラム紹介バックナンバー
previous page
2

 消費者向け製品は同社の売上4億100万ドル(2010年度)の約55%を占める。高齢者向けの介護ロボット市場への進出も狙っており、タブレットコンピュータから簡単に操作できるようなものを現在開発中だ。

 今回、アイロボット社が日本に寄付したロボットとスタッフの貢献は、金銭に換算すると50万~100万ドルに相当するという。ちなみに、東日本大地震が発生したとき、スタッフ(とロボット)はシンガポールの見本市にちょうどいたのだという。スタッフはそのまま日本へ。その後、パックボット2台と、さらに大型のウォーリアー2台を日本側に寄付した。パックボットは主に調査用に用いられているが、ウォーリアーの方は重いホースを持ち上げたりすることもできるので、注水への利用も可能だ。アイロボット側は、ロボットに関する知識や操作方法を惜しみなく伝授すると公言している。

 それにしても、日本はロボット王国のはずではないのか。いったいどうしたのか。その答えは恐らく日本のロボット技術開発が製造現場で使われる産業用ロボットや、かわいい動物や精巧な人間の動きを模したヒューマノイド型に集中しているためだろう。

 むろん災害救済に使えるロボットもあるはずだが、すぐに使えるという機動性の点で問題があったのだろうか。ちなみに、原発事故が発生してからすぐ後に、アメリカからは大型の無人偵察機グローバルホークも飛んできて、上空からの撮影を行っている。結局、緊急時に頼りにされたのは、アメリカ生まれのロボットだったのだ。日本も今後は、ロボット開発の方針を見直していく必要があるだろう。

 アイロボット社は先頃、アメリカ陸海軍両方から大きな契約を勝ち取り、その注目度と株価はますます上昇している。

previous page
2
IT&ビジネス
クチコミ・コメント

facebookもチェック

瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

ビジネスモデルの破壊者たち

シュンペーターの創造的破壊を地で行く世界の革新企業の最新動向と未来戦略を、シリコンバレー在住のジャーナリストがつぶさに分析します。

「ビジネスモデルの破壊者たち」

⇒バックナンバー一覧