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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

省エネ先進国の呼び名にふさわしい節電意識を
必要なのは我慢ではなくライフスタイル転換
~「未来へのリセット」ができたとき心の桜は咲く

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第49回】 2011年4月21日
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 夜、家に帰ると、部屋に電気がついていない。家族がまだ家に帰っていないのだろうと思いリビングに入ると、暗闇の中で妻がパソコンを覗き込んでいた。節電のためだと悟った。

 事務所のドアに、「帰る時はエアコンの電源を切って帰りましょう」とさり気ない注意書きが張ってある。秘書による私への警告だ。すでにエアコンが切ってあるのに気づかず、帰り際に何も考えずにもう一回電源スイッチを押し、そのまま事務所を出た。それが秘書たちからの警告の原因を作ってしまったらしい、とひそかに反省している。

 自宅マンションはエレベーターの台数が多く、待ち時間があまりないことで評価されているが、計画停電の話が出てから3分の2は使わないようになった。待ち時間は増えたが、非常時だと意識しているためか住民たちからの苦情はない。身のまわりの小さな出来事も、今度の震災の影響の大きさを何気なく知らせている。しかし、こうした生活の中で覚える不便に対して、ほとんどの人は非常事態が発生した今の一時的な措置だと理解して我慢していると思う。実際にいつまでどこまで我慢できるのか、興味深いテーマである。

 マンションのエレベーターの横に、「心に桜が咲く日まで、私たちは節電します」と節電を呼びかける紙が張られている。

 「心に桜が咲く」という美しい文面が示したその日までの節電措置だと理解していいだろう。だが、私はその文面にある種の抵抗感を覚えた。

 先週の土曜日、BS-TBS「グローバルナビ・フロント」という番組に出演したが、テーマは「復興のステージへ、新しい日本を創ろう」というものだった。その中で、ゲストに「新しい日本」を創る際のキーワードが求められた。私は「未来へのリセット」を呼び掛けた。

 今回の節電は、原発事件を人災で大きく拡大してしまった東京電力という会社の困窮ぶりを救済するための社会的な協力活動ではない。生活者一人ひとりがこれまでのライフスタイルを考え直すきっかけにするべきだと思う。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


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地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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