この1年あまりで急拡大している衣料用の超コンパクト液体洗剤市場に、P&Gが満を持して参入する。6月上旬にも新製品を投入する予定だ。
この市場には、2009年8月に花王が「アタックNeo(ネオ)」を、10年1月にライオンが「トップNANOX(ナノックス)」を投入した。高い洗浄力に加えて、泡切れがよくすすぎが1回ですむため、節電・節水につながる点が支持され、年間1500億円の衣料用洗剤市場において20%近い比率を占めるまで急成長している。
先行する2社を追うP&Gは、新製品の開発に当たって徹底した市場調査を行った。その結果、「衣類の汚れをきれいに落としたいが、手間はかけたくない」というニーズが高いことがわかった。競合他社のように汚れを落とす力をとことん追求する道もあったが、P&Gが選んだのは、「汚れをつきにくくすること」だった。
この逆転の発想から生まれたのが、「アリエールREVO(レボ)」だ。汚れを落としつつ、衣類の表面をイオンでコートして汚れをつきにくくする独自の成分を開発した。食べ物汚れなどの場合、水で流すだけでかなり汚れが落ちるうえ、すすぎも1回ですむため、短時間で効率的に汚れを落としたい消費者に訴求できる。
東日本大震災以降、全国的に節電や節水の意識が高まりつつある。超コンパクト液体洗剤市場にとっては「追い風」が吹いている。汚れる前の「予防洗い」という新たな切り口で、先行する花王とライオンを追いかけるP&G。大手3社による三つ巴の戦いで、市場はさらに活性化しそうだ。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 前田 剛)