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経済ジャーナリスト 町田徹の“眼”

「11月危機」で市場は再び大混乱か
オバマ次期大統領を待ち構える試練

町田 徹 [ジャーナリスト]
【第51回】 2008年11月7日
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 弱冠47歳のバラク・オバマ氏が4日の大統領選挙で、72歳の老練な政治家ジョン・マケイン氏を破って米国史上初の黒人大統領の座に就くことが決まった。

 オバマ氏と言えば、歴史上5人目、現職でたった1人しかいない黒人の上院議員(民主党、イリノイ州選出)だ。白人が独占してきた大統領の座を獲得するという歴史的な意味もある。

 大統領選の翌日(5日)、ロシアのメドベージェフ大統領は早速、オバマ氏に手荒い“祝福”をした。米国のミサイル防衛に対抗して、ロシアも新型ミサイルをポーランドとリトアニアに挟まれた飛び地カリーニングラード州に配備すると発表したのだ。国際社会では、米ロの緊張が一気に高まった。

 しかし、オバマ氏は、国際社会の緊張や米ロ関係より遥かに切迫した課題に直面している。ヘッジファンドの破綻がきっかけで再び金融資本市場が大混乱に陥るのではないかという「11月・12月危機説」の火消しをすることが、その課題である。

ブッシュの杜撰な恐慌対策の
ツケを払うという重責

 恐慌は選挙戦でオバマ氏に味方した。特に9月半ばの米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻は、マケイン氏の「米国の経済基盤は強力だ」という発言を誘い、同氏を経済オンチと印象付けた。

 だが、大統領選に勝利した今、立場はまったく逆。杜撰だったブッシュ政権の恐慌対応のツケをオバマ氏が清算しなければならない立場になる。

 オバマ氏の最初の試練は、今月14、15の両日に予定されるG7、G20レベルの緊急サミット(首脳会合)。来年1月20日の就任式を待たずに、オバマ氏に重責がのしかかろうとしている。

 まず、ブッシュ政権が、今回の恐慌への対応の拠り所としている「緊急経済安定化法」について検証したい。日本では、あまり報じられていないが、少なくとも2つの大きな問題が存在するからだ。この問題を吟味すると、ブッシュ政権が恐慌に対し、いかに杜撰かつ無責任な対応をしていたかも浮かび上がってくる。

 さらに言えば、これらの点こそ、同じ共和党所属というだけで、マケイン氏もブッシュ政権と同じように杜撰で無責任な対応を受け継ぐに違いないとの連想を呼んで、オバマ氏の相対的な浮揚に貢献した側面もあるのだ。オバマ氏は、その杜撰で無責任なブッシュ政権の対応を再構築するという重い十字架を背負っている。

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町田徹 [ジャーナリスト]

1960年大阪府生まれ。神戸商科大学(現兵庫県立大学)卒。日本経済新聞社に入社後、記者としてリクルート事件など数々のスクープを連発。日経時代に米ペンシルバニア大学ウォートンスクールに社費留学。同社を退社後、雑誌「選択」編集者を経て独立。日興コーディアルグループの粉飾決算をスクープして、06年度の「雑誌ジャーナリズム賞 大賞」を受賞。「日本郵政-解き放たれた「巨人」「巨大独占NTTの宿罪」など著書多数。


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