マイナンバーの口座ひも付けで財産没収?人々がデマにコロッと騙された納得の理由マイナンバーと全ての口座が強制的にひも付けられ、悪くすると財産を没収される。そんなデマになぜ人々は踊らされたのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

手続きをしないとマイナンバーと全ての口座が強制的にひも付けられる――。そんなデマがX(旧ツイッター)やTickTockで拡散した。背景には口座管理法と改正マイナンバー法との混同や、マイナンバーへの漠然とした不安感があるようだ。人はなぜデマに引っかかってしまうのか。(フリーライター 武藤弘樹)

「口座管理法」デマは
なぜ大きく拡散したのか

 4月1日に施行された「口座管理法」は、銀行で新しく口座を開設する際などに、銀行が利用者に対して「口座とマイナンバーをひも付けますか?」と確認することを義務づけたものである(口座管理法 第三条2、および5)。

 メリットは一言でいって「利用者にとって便利」であり、ひも付けておくと相続や災害時の手続きが簡略化されるということだ。

 この法律によって義務づけられたのは、あくまで「銀行が」「ひも付けするか質問すること」であって、ひも付けが義務付けられたわけではない。ひも付けするかどうかは利用者自身で選ぶことができる。しかしSNSでは口座管理法に関するデマが出回って、いたずらに不安や警戒心を煽っている。

 口座管理法自体は大して複雑な法律ではないので、少し調べればその実態がよく理解できるのだが、誤解されやすい要素や背景も、まあ確かにあった。それらを解説するとともに、拡散されるデマの基本的な特徴や、デマの見極め方をさらっていきたい。