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メディアが総出で被災地支援に乗り出した!
大震災で明らかになった電子書籍の可能性

田島 薫
2011年5月2日
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 今回の大震災は、出版業界にも大きな影響を与えた。まず東北の製紙工場などが大打撃を受けたために、紙やインクが不足。また交通も寸断されたため、遅配が起きることも度々だった。

 そんななか、被災地の読者のために、少年向け主要コミック誌が軒並みネットでの無料配信を決めたことは、大きな話題を集めた。『週刊少年ジャンプ』(集英社)、『週刊少年マガジン』(講談社)、『週刊少年サンデー』(小学館)、『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)などが取り組み、4月も実施する。

 この他にも、出版社やコンテンツ各社が独自の取り組みを行ない、各々に被災地を支援している。

 まず学研ホールディングスは3月末、電子書籍の「保育おたすけハンドブック いつでもどこでも編」を無料配布する。これは「わらべうた」や「じゃんけんあそび」「おにごっこ」など、道具不要の遊び18種類を紹介するもの。避難所などで退屈することの多い子どもたちが、楽しく遊べる一助となるであろう。

 またトーハンは、自社の電子書籍サイトで「災害医療関連コンテンツ」の無料配信を開始。搬送や外傷・創傷に対する処置、糖尿病対策など、災害時に必須な知識や技術を紹介するものだ。主に医療従事者向けだが、家庭の知識としても役立つに違いない。

 さらには、音楽配信サイトなどを運営するエムティアイ社は、iPhone向け電子書籍アプリ「家庭の医学」を無料化。ケガ・病気の対処法や予防、薬の知識、介護・リハビリ・食事療法などの医学健康情報を紹介している。

 被災地ではいまだ、過酷な生活を強いられている避難者が多い。書籍を入手することはなかなか困難だろうが、物流事情などに左右されない電子書籍の強みは大きいだろう。

 日本中が「今、自分にできること」を考え、模索し、行動した今回の震災。出版界にとってはまさしく財産である「コンテンツ」を無料供出することが、大きな貢献であることは言うまでもない。被災者たちは水や食料と同様に、「情報」を欲すると言うが、とりわけ活字好きには、有益な情報を満載した電子書籍の存在は、1つの心の灯になるはずだ。それが被災者の気持ちに届き、彼らが少しでも元気づけられたなら、その試みは大成功と言えるだろう。

(田島 薫)


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