住商が欧米バナナ市場参入、総合商社がなぜバナナ?ファイフスはバナナ以外にパイナップルなども取り扱い、住友商事はこれらの顧客基盤に新商品投入をもくろむ Photo:Bloomberg/gettyimages

 非資源ビジネス強化を加速させる住友商事が、さらにアクセルを踏み込んだ──。そんな印象を市場に与えたのが、アイルランドの青果卸大手ファイフス(ダブリン)の買収だ。住商は先月、約910億円を投じてファイフスの全株式を取得し、完全子会社化に踏み切った。

 日本人にはなじみの薄い会社だが、ファイフスは欧米の青果物市場で強固なシェアを誇る。バナナの販売シェアは欧州1位、北米4位。特に欧州は、日本の6倍近い年3億箱(1箱18キログラム換算)のバナナを輸入する巨大市場だが、うち約15%のシェアを占めるファイフスの存在感は大きい。

 住商のバナナ取扱量は、日本向けを中心に年1500万箱程度だが、ファイフス買収で一気に同7800万箱へ増加する。「規模が大きい欧米市場への進出は長年の悲願だった」と山名宗・住商食料事業本部長が語るように、住商は今後、ファイフスを足掛かりに巨大市場へ参入していくことになる。