――浜岡を止めても中部電力は、計画停電はしない、電気料金は上げない、節電は要請する、と発表しています。しかしマスメディアは電力不足になるという懸念を書いている。この点をどうご覧になっていますか?

 それは報道に携わる人たちがデータをきちんと調べていないからです。中部電力の言い分だけを聞いて、電力問題の本質を調べたことがないからです。日本全体で見れば、原発がまったく稼働しなくても火力と水力で十分賄えます。下のグラフは、発電施設の設備容量と最大電力の推移を表したものですが、1960年代から最近まで、真夏のピーク時の最大電力が「火力+水力」の発電能力を超えたことは一度もありません。しかも2008年度以降は電力消費が大幅に落ち込んで、ますます発電所が余っている状況です。

 具体的に、中部電力の場合を見てみましょう。異常な猛暑を記録した昨年、2010年夏の最大電力と発電能力を示したのが下のグラフです。ピーク時の最大電力2698万kWに対して、発電能力は原発を除いても3101万kW。つまり、あの猛暑のときでさえ、浜岡原発なしに403万kW(約15%)もの余力があったということです。

 今年の夏が昨年のように猛暑になることはまずあり得ないので、余裕をもって乗り切れます。だから何を騒ぐのかというのが第一の疑問です。テレビと新聞が、産業界や庶民に要らぬパニックを煽っているのです。私が報道記者に言いたいのは、電力会社の発表を鵜呑みにせず、実績値を自分たちで調べてみなさいということです。そうすれば、もっとレベルの高い議論ができるはずです。

 中部電力が今年夏のピーク電力を2560万kWと予測していることは、昨年の異常気象時の2698万kWより138万kW少なく、正しい判断です。電力が不足するかも知れないと言っていたのは、持っている火力を停止しているからです。そのプラントを稼働させるには、燃料の手当てだけが必要なので、三田敏雄会長が急遽カタールに飛んだことも、まったく正しい行動です。その手当てがついたので、浜岡停止を決定したわけです。加えて、来年7月には、中部電力が新潟県に建設中の上越火力発電所が運転を開始するので、最新鋭のLNG2基238万kWが加わって、電気があり余るほどになります。ほぼ360万kWの浜岡原発の稼働率は50%、つまり180万kWが精一杯だったので、上越火力だけでお釣りがきます。