――これから発電設備を増強するとすれば、原子力発電に代わるエネルギーをどこに求めるべきだとお考えですか?

 電力会社としては、LNG(液化天然ガス)火力発電所を増やすことです。エネルギー・環境問題研究所代表の石井彰氏によれば、LNG火力は最短で数か月あれば設置できると言います(「ガスエネルギー新聞」2011年4月6日)。電力会社は停電を口にする前に、最もクリーンで、世界の発電のエースであるLNG火力を増設するべきです。

 LNG火力というのは、現在、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた「ガス・コンバインドサイクル」として完成しています。この発電設備は、火力のなかで最もエネルギー効率が高いのです。じつは原発のエネルギー効率は驚くほど低く、わずか30%です。電気にならなかった残りの70%は、温排水として海を加熱して、自然破壊を進めています。一方、従来型火力は45%まで、そしてガス・コンバインドの熱効率は実績で60%まで高まっています。

 しかも、この方式ではタービンでLNGを燃焼させた後に、何度も排熱を回収してエネルギーを発電機に送るため、熱効率は原発の2倍なのに、排熱量は2分の1に抑えられる。ほかにも、天然ガスはクリーンで地球環境に最もやさしい、小型なので設置に場所をとらない、電源を入れてから1時間で起動できるので消費量の変化に追随できる、という数々のメリットがあります。

 原発がなければ経済成長できないと考えるのは大きな誤りで、これがいま世界の趨勢なのです。

 実際、日本の電力会社もこの設備の導入を進めており、2010年9月14日には、中部電力が西名古屋火力発電所の石油火力を刷新してコンバインドサイクルを導入する方針を打ち出しました。これによって、この発電所の出力は119万kWから220万kWへ100万kWほど高まることになります。このことからも、浜岡原発を延命させるよりもコンバインドを推進したほうがはるかに効率的であることがわかるでしょう。

 東京ガスと大阪ガス、中部電力、独立行政法人の石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の4社がこの5月9日に、三菱商事が進めるカナダのシェールガス(シェール層から採取される天然ガス)事業に共同で参画すると発表したことは、その最先端の動きです。アメリカの天然ガスは、今後ほとんどシェールガスに依存する計画ですから。

 さらに、今後の将来的なエネルギー政策を考えた場合には、エネファーム(家庭用燃料電池)が主力になることに期待しています。何しろ最大エネルギー効率はコンバインドより高い80%で、天災などで大打撃を受ける集中型の設備ではなく、家庭ごとに設置する分散型の理想的な姿になるからです。これが2020年には累計250万台に達するという市場予測が出ています。そうなれば、20世帯に1台の割合で普及するわけですから、家庭での成功によって製造部品のコストが大幅に下がって、現在のパソコンと同じように量産による低コスト化が実現され、工場をはじめとした産業界に広まってゆきます。つまり、最大の電力消費者が、エネルギーの有効利用を達成できるわけです。