米国の景気指数の1つとして、世界の投資家・企業経営者が注目しているS&Pケース・シラー住宅価格指数(ケース・シラー指数)。世界経済がリーマンショックから立ち直ったかと思われていた頃、よくテレビ等では「明日は、ケース・シラー指数が発表されます。注目です」などと報道されていた。アメリカの住宅価格動向を示す指数であると同時に、代表的な景気指数である。

 そして日本でも、このケース・シラー指数の日本版といえる指数(=東証住宅価格指数)が4月26日に東京証券取引所から発表された(東証は試験的に公表、としている)。今年に入り、公表が発表された時から金融業界・不動産業界などを中心に期待が寄せられていた。

 この指数はまだ第1回が発表されたばかりであり、発表当日こそテレビや新聞で大きく取り上げられていたが、それほど話題にならなかった。しかし、これからは大いに注目を集めることになるだろう。

 今回は、この発表された最新データ(1993年1月~2011年2月)を読み解いてみたい。実は読み解くことで、バブル崩壊後、いつごろが最も住宅の買い時だったのかが見えてくるのだ。

日本版ケース・シラー指数
「東証住宅価格指数」のあらましと概要

 米国ケース・シラー指数は、2人の大学教授(ケース氏とシラー氏)によって開発された指数である。現在ではその手法で算出されたデータが、S&P社から公開されている。日本版ケース・シラー指数は、東証住宅価格指数という名前になったが、もとは国土交通省が早稲田大学(川口教授らが中心)とともにまとめ上げた、「住宅市場動向に関する指標のあり方の検討業務報告書」で示された手法を用いている。

 この報告書は国土交通省のサイトからダウンロードでき、かなり詳細に書かれている。興味のある方はご一読をオススメする。

 この指数は、中古マンションの成約事例に基づいた指数で、その成約事例(場所・価格…など)は、(財)東日本不動産流通機構(通称 レインズ)が所有しているデータを使っている。公開頻度は月1回で最終火曜日16:00である(これは米国と同じ)。また、最新データは2ヵ月前の取引事例である。