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世界10万社の納入企業も対応に大わらわ!
ウォルマートの「環境戦略で節約」大作戦

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第145回】 2011年5月19日
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 アメリカで今、もっとも積極的に、そして派手にグリーン・ポリシーを打ち出している大企業は、何を隠そう、あのウォルマートである。打ち出しているだけでなく、驚くべき成果をたたき出し、その動向に注目が集まっている。

 ウォルマートと言えば、ご存じのとおり世界最大の売上げ規模を誇る企業だが、「Every Day,Low Price」の格安路線のせいか、これまで今ひとつ世間にアピールする派手さのない企業だった。とにかく売り物は“安さ”。コストを抑えるため、店内は華美な装飾をいっさい排している(もっとも、この分かりやすい戦略が大衆には受けて、アメリカの全世帯の約8割は少なくとも年に1回はウォルマートで買い物をしているといわれる)。また、コスト削減が行き過ぎて、従業員の給料が低いとか、福利厚生が不十分といった評価を、ここアメリカのメディアなどを通じて、目にしたり耳にしたりすることも珍しくない。

 では、同社のグリーン・ポリシーは果たしてこうした負のイメージを払拭するためのものなのだろうか。

 結論から言えば、そうではないだろう。同社がモットーとして掲げているのは、「イメージのためではなく、お金のためにグリーンになれ」というもの。実際、ウォルマートはここ数年、すでにこのアプローチで巨額のコスト削減に成功しているのである。

 たとえば、アメリカの洗濯洗剤は1ガロン(3.8リットル)入りお徳用が人気だが、ウォルマートは大型洗剤の代わりにケチャップ瓶ほどの大きさの濃縮型の洗剤を導入し始めている。これによって、過去3年間に、運搬用パッケージに利用していたダンボール箱が1億2500万パウンド(5万6700トン)分、運送のためのディーゼル燃料50万ガロン分が浮いたという。また、おもちゃの自動車やトラックの包装用段ボール箱のサイズを小さくしたところ、年間運送料が240万ドル削減できたというのだ。

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瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


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