情報通信技術の進歩でさまざまな形の働き方ができるようになってきた。仮想通貨が普及すれば、少額の送金がほぼコストゼロでできるから、会社などに属さないフリーランサーという働き方も広がる。自由に時間が使えるので長期残業といった問題も考えずに済む。政府の「働き方改革」の議論では、フリーランサーの重要性を見落としている。
「働き方改革」には
フリーランサーの存在が抜け落ちている
政府は、3月29日に、「働き方改革」に関する実行計画をまとめた。
この計画は、人々が従来のように企業に雇われて、組織の中で働くことを前提としている。
日本の場合、多くの人がそのような形態で働いている。したがって、その枠内での改革が大きな課題になるのは、やむをえない。
しかし、こうした枠をはめての改革には、限界がある。例えば、残業時間に上限を設けるというが、どれだけ実効性があるだろうか? オフィスで働けなくなっても、仕事は処理しなければならない。だから、自宅に持ち帰って仕事をするといったことになるだろう。
また、中小零細企業が規則通りに残業手当を支給すれば、倒産してしまうかもしれない。
残業時間を減らしたり残業手当を規則通りに出したりするためには、生産性の向上こそが必要だ。これが政府の実行計画に欠けている基本的なポイントである。
欠けているのは、それだけではない。情報技術の進展によって、さまざまな形態の働き方が可能になっているので、それを推進することが重要だ。
とくに、組織に雇われるのではない新しい働き方を求めることだ。アメリカではすでに3分の1を超える人々がフリーランサーとして働いている。政府の実行計画の中にも「兼業・副業を推進」という項目があるが、もっと積極的にフリーランサーとしての働き方を求める必要がある。