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言論NPO工藤泰志「議論の力」

誰がこの国の政治を変えるのか?その答えは
政治家にではなく代表を選ぶ市民の側にある

工藤泰志 [言論NPO代表]
【第2回】 2011年5月24日
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阪神大震災と比べ
なぜかくも政府の対応が遅れるのか

 震災から2ヵ月がたったにもかかわらず、被災地では依然、20万人近い人が実質的な避難生活を余儀なくされている。

 政府の取り組みの遅れは、阪神淡路の震災時と比較すると分かりやすい。被害の規模や広がりは異なるが、被災地の「命の救済」という点で、政府に求められる時間は同じなはずだからだ。

 政府は被災地の出口として、瓦礫処理や仮設住宅でも8月目処の達成を明らかにしたが、それがそのまま実現するとは現段階では判断できない。

 例えば、瓦礫の処理では阪神淡路では2ヵ月時点で約80%が処理されたが、今回はその規模は2倍程度とされており、阪神淡路のときのような埋め立て地もない。このため5月2日時点で岩手が16%、宮城が2%、福島は4%に過ぎない、という。

 また仮設住宅も、阪神淡路では2ヵ月後に3分の2は完成していたが、今回は目標の11%程度しか現段階で完成していない。

 復興に向けた取り組みも、阪神淡路の際には復興の関連法案が2ヵ月の時点で16本成立しており、プランに基づいて実行する仕組みが具体的に起動している。今回は復旧を主体とした補正予算は成立し、復興構想会議での議論が始まった。

 が、それを受けて実行する仕組みが未だ出来ておらず、いまだ復興に向けた動きは議論の段階で事実上停止している。5月13日、国会にようやく提案された復興法案では、実行機関の「復興院」は1年以内に検討、とされている。

 先日、石原信雄元官房副長官ら3氏による緊急の公開座談会を行ったが、こうした震災対応の遅れに対して、3氏は口を揃えて「原発の処理に追われたのは分かるが、政治家のパフォーマンスが目立ち方針も決定できず、官僚を使いこなせていない。政府全体の動きになっていない」と、手厳しかった。

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工藤泰志 [言論NPO代表]

1958年生まれ。横浜市立大学大学院経済学修士課程卒業。東洋経済新報社で、『金融ビジネス』編集長、『論争東洋経済』編集長を歴任。2001年10月、特定非営利活動法人言論NPOを立ち上げ、代表に就任。その後、選挙時のマニフェスト評価や政権の実績評価、東アジアでの民間対話など、様々な形で議論を行っている。また、2012年3月には、米国の外交問題評議会(CFR)が設立した世界23カ国のシンクタンク会議「カウンシル・オブ・カウンシルズ(CoC)」の日本代表に選出。

 


言論NPO工藤泰志「議論の力」

言論NPOは、今年で設立から12年。日本の主要課題に対して建設的な議論や対案を提案できる新しい言論の舞台をつくろうと活動を始めた。同代表の工藤泰志が、数多くの有識者たちとの議論を通じて感じ取った日本の課題に切り込み、議論の力で強い民主主義実現をめざす。

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