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今さらの「原発メルトダウン公表」に呆れる国民
政府・東電の情報開示は、なぜ“大本営発表”なのか

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第176回】 2011年5月24日
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今さらの「メルトダウン発表」に呆れる国民
むしろ海外報道のほうが実態に近かった?

 3月11日の大震災による電子力発電所の事故が発生して以来、政府や東京電力は、「炉心の溶融=メルトダウンは起こっていない」と繰り返してきた。

 それにもかかわらず、原発事故発生から2ヵ月経った5月中旬、福島第一原発1号機が地震発生から約5時間後にメルトダウンを起こしていたことが公表された。さらに、2号機、3号機でもメルトダウンが起きていた可能性が高いことが明確になった。

 それに対して、国民は「やはりそうだったか」と感じると共に、政府・東電の情報開示に関する意識に呆れている。海外の反応はさらに厳しい。主要メディアの中には、「日本は都合の悪い情報を隠したがる国」との論調もあり、日本政府や東電の情報開示に対する意識は信用できないとの見方が強まっている。

 海外の主要メディアは、事故発生当初から、「どこから、それほど精度の高い情報を仕入れたのだろう」と思うほど詳細な情報を使って、原発事故の深刻さを克明に伝えてきた。原子力関係の専門家の中には、「原発事故の報道は、国内よりも海外メディアを見た方が実態はよくわかる」と皮肉る声さえある。

 何故、このようなことが起きるのだろうか。

 事故発生当初は混乱状態になったため、事実の把握が遅れたことはあるかもしれない。しかし、根の深い本質的な理由は、おそらく、政府やそれに近い企業などの「情報に対する意識」にあると考える。

 つまり、「都合の悪いことは隠蔽し、結果が明らかになった段階で、『想定外の出来事だった』と弁明すればよい」という意識である。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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