2020年の東京五輪が目前に迫る中、新国立競技場のサブトラック問題はいまだ着地点が見えない。
新国立競技場は、サッカー、ラグビー、陸上競技の三つの競技ができる。現設計では前二つの国際大会は開催可能だが、陸上はできない。開催基準を満たすために必要な常設サブトラがないからだ。
その原因は、五輪後に競技場を球技専用にするのか、国際レベルの陸上競技場にするのか、いまだ方向性が定まらないことにある。
15年末、五輪後の利用方法を決めるため、文部科学省を中心にワーキングチーム(WT)が設置され、昨年2月から9月に8回の議論を重ねた。だが結論は出ず、以後WTは半年以上開かれていない。スポーツ庁は「各競技団体や民間企業にヒアリングし、進捗すればWTは再開する」と言うが、膠着状態に陥っているだけだ。
そこに一石を投じる提案がある。全国の公園・緑地整備に関わるランドスケープコンサルタンツ協会(CLA)が15年10月に発表した、都営霞ヶ丘団地跡地に常設サブトラを造るという計画だ。