小池都知事の五輪会場見直し提起はムダだったのか当初案がそのまま通りそうな東京五輪会場見直し問題。小池知事は敗北したのか? Photo:Rodrigo Reyes Marin/Aflo

「整備費用がかかり過ぎる」として小池百合子東京都知事が着手した2020年東京五輪・パラリンピック会場の見直し問題の決着がつこうとしている。

 見直しが論じられたのはボート・カヌー競技が行われる海の森水上競技場、水泳のオリンピック・アクアティクスセンター、バレーボールの有明アリーナの3会場。いずれも新設で、建設費などでばく大な費用がかかることから調査チームを立ち上げ、既存の施設を活用する案を出して議論を続けてきたわけだ。

 11月29日、その結論を出すための国際オリンピック委員会(IOC)、東京都、政府、大会組織委員会の実務者による4者協議が行われ、海の森水上競技場とアクアティクスセンターはコスト削減を図ったうえで建設、有明アリーナだけは決定が先送りされたが、やはりコストを削減して新設ということになりそうだ。

 結局、当初の案がそのまま通る見通しで、多くのメディアの論調は小池知事の敗北、あるいは知事が起こした会場見直し騒動はなんだったのか、というものになっている。だが、そう決めつけていいのだろうか。

コスト意識に意味、このままでは
夏季五輪は「金持ち都市大会」

 五輪・パラリンピック招致成功後、3会場の整備費は膨れ上がった。が、小池知事が会場見直しを主張し始めると、コスト削減が図られ、10月末に明らかになった再試算では3会場合計で約400億円の減額が可能という結論が出た。実際に建設・整備が始まれば、大会までに色々と費用がかさみ、この試算通りになるとは限らないが、コストを切り詰めようという意識が生まれたことは意味がある。