税金を上げると、男女共働きじゃないと平均的な生活ができません。20代~60代の女性の社会進出率が70%以上という数字は先進的に見えますが、そうしないと生きていけないのです。最近の日本でも、少しそのような現象が表われ出しています。

 女性が自由に働けるようにするには、幼稚園から大学まで、すべて無料にしなければならない。個人では貯金はできないが、未来に貯金をしているという構図にしない限り、国民は納得しないからです。

女性が家事や子育てに集中する
選択ができる社会の豊かさ

石黒教授(左)と自身のジェミノイド(遠隔操作型ロボット)

 また、男女共働きになると、弁護士や医者といった机に向かって、一所懸命勉強したほうが有利な職業は、女性が大半を占めるようになります。だから、実はデンマークは女性のほうが平均年収が高いのです。

 すべての人が人工的に子どもをつくるような社会ならばいざ知らず、妊娠、出産を経験することの多い女性が、果たして男性と同じように働かなければならないのか。

 もちろん機会は平等であるべきだと思いますが、僕自身、労働における男性と女性の立場は必ずしも同じでなくていいと考えています。

 少なくとも、女性が家事や子育てに集中するという選択ができる社会のほうが豊かなのではないでしょうか。

 それに加えて、こうした政策を採ると、どうしても公務員が増える。公務員を国民の1割にまで増やして破綻した国がギリシャですが、割合はデンマークも同程度で、地方自治体の中には1割を超えているところもあります。

 その人たちが何をやっているかといえば、労働集約型の公共サービスしかない。それは、老人介護なのです。

 税負担が大きく、かつ貯金がない人が大半なので、介護を徹底的に充実させておかなければ国民の不満が爆発することは目に見えています。