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今週のキーワード 真壁昭夫

いよいよ過熱する「中国バブル崩壊観測」の真偽
日本のバブル期と重ね合わせて論じるのは間違い?

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第177回】 2011年5月31日
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不動産バブルとインフレ懸念が顕著に
中国バブルはいよいよ崩壊するのか?

 最近、欧米の経済専門家の間で、中国経済の先行きに悲観的な見方がいつになく強まっている。それに伴って、有力メディアでも中国経済に懸念を表明する記事が目立ち始めている。

 その背景には、中国の“不動産バブル”と“インフレ懸念”の2つの要因がある。特に、中国の“不動産バブルについて、「1980年代後半の日本の不動産バブルと同じプロセスを歩んでいる」との見方もあり、早晩バブルが崩壊するとの予測も出ている。

 大規模な“不動産バブル”が弾けると、わが国が辿ったような長期経済低迷の時期が来る可能性もあるというロジックだ。

 また、当局の金融引き締め策などにもかかわらず、今のところ中国では、食料品中心に価格の上昇に歯止めがかからない。こうした状況が続くと、国民、特に低所得者層の購買力が低下して、消費が低迷することも考えられる。それは、中国経済の成長力の足を引っ張ることになるはずだ。

 もう1つ無視できない要素は、中国の政権交代が来年に迫っていることだ。一党独裁の政治システムを持つ中国で、リーダーが変わることの意味は大きい。特に、経済の裏表が存在する中国では、新しい権力者の政権運営によって、今までの特権階級が淘汰される可能性もある。

 これだけ勢いのついた中国経済が、すぐに失速するとは考えにくいものの、中長期的に見ると、相応の混乱が発生するリスクは十分にあるだろう。長い目で見ると、中国リスクは頭に入れて置くべき要素だ。巷でまことしやかに囁かれる「いよいよ中国バブル崩壊か」という観測は、果たして本当だろうか。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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