『週刊ダイヤモンド』4月22日号の第1特集は「『孫家』の教え──起業家に学ぶ10年後も稼げる条件」です。人工知能(AI)やロボットの進化、そして長寿命化の進展によって社会の構造が大きく変わる中、将来も「食べるのに困らない」、そんな未来を切り開く人材を育てるにはどうすればいいのでしょうか。そこで、10年先も活躍していることが確実な若手起業家27人を徹底取材しました。その生い立ちや家庭環境からどのような力を磨いてきたのか。誌面に収まりきらなかった秘話を「拡大版」としてお届けします。最終回は番外編として、国際ジャーナリストの落合信彦氏が父親で、アーティストや研究者、実業家など多彩な顔を持つ、“現代の魔術師”とも呼ばれる落合陽一氏(29歳)のインタビューをお届けします。(「週刊ダイヤモンド」編集部 竹田幸平)
父の教え「大した命じゃない、死ぬまでやれ」
――著名人の父親(国際ジャーナリストの落合信彦氏)の下、幼少期はどんな家庭環境で育ちましたか。
学校から帰ると、よく世間でも名の知れた“変わった人たち”が父に会いに家に来ていました。何をしているか聞くと「普段はサグラダ・ファミリアを造っているよ」と言う外尾さん(彫刻家の外尾悦郎氏)とか、不良を自称する角川春樹さんとか。
「靴下をはかないあの人は誰?」と父に聞いたら、有名建築家の黒川紀章さんだったこともありました。イスラエル空軍の人やスパイみたいに怪しげな人も来て、刺激的で面白過ぎました。そんな文化的資本の蓄積を僕はフルに生かして生きていますね。そこはマジで感謝しています。
――父親に言われて印象的だった言葉はありますか。
「大した命じゃないんだ、死ぬまでやれ」。これを小さいころから言われてきました。世界には代えが利かない人材なんていないってことです。