猪子寿之氏「アートは“カッコいい”の基準を動かし人類を変える」

『週刊ダイヤモンド』4月1日号の第一特集は「美術とおカネ アートの裏側全部見せます。」。およそ80ページにも及ぶ大特集では、お金の流れから作家の生活、歴史から鑑賞術まで全てを網羅した。ここでは、アートが好きな経営者や学者、画家や写真家など特集で取材した“美の達人”たちのインタビューをお届けしたい。今回は、アートが人類を変えると断じるチームラボの猪子寿之代表だ。(「週刊ダイヤモンド」編集部  竹田幸平)

──チームラボはテクノロジーとアートを結び付けて多彩な作品を生み出しています。一見アートと経済は関係が薄く、一般のビジネスマンなどはアートとの関わりを見いだすのが難しいように感じます。どう考えればよいでしょうか。

 なるほど。まず、おっきな話をするよ。語弊もあるような言い方かもしれないけど、パッと人類の歴史を振り返ってみると、歴史に名を残したのって、新しい国を造った人か、科学者か、アーティスト(芸術家)ぐらいなんだよね。なぜなら、サイエンス(科学)もアートも人類を変えてきたから。

 例えばこの僕の人さし指を見てみて(次ページ写真参照。猪子代表の人さし指を本誌若手記者が見詰める)。僕の顔は見えないよね。

──確かに見えません。

 こんなに見えている範囲が狭いって普段意識しないでしょ。肉体の目っていうのはすごくしょぼい。5000年前はもっと世界が見えていなかったんじゃないかな。実はサイエンスは人類が見える世界を増やしてきたんだよね。