日本郵政は豪州の物流会社トール・ホールディングの資産を洗い直し、4003億円の損失(減損処理)を明らかにした。鳴り物入りの「戦略的買収」は、わずか2年で財務を揺るがす「お荷物」と化し、日本郵政の2017年3月期決算は赤字に転落する。
「疑惑の買収」を主導したのは当時社長だった西室泰三氏。東芝を泥沼に引き込んだ米国の原発メーカー・ウエスティングハウス(WH)の買収を画策した人物だ。
法外な値で海外企業を買い、やがて損失が露呈し、カネを外国に吸い取られる。そんな経営者が財界の顔役となり、老いてなお巨大企業を渡り歩く。日本の産業界は一体どうなっているのか。
構図、巨額さ、役者までもが
既視感のある日本郵政の減損
25日記者会見した日本郵政の長門貢社長は、「買収した時の価格がちょっと高過ぎた。リスクの把握が楽観的だった」と語った。
買収価格は6600億円。当時から「高い買い物」と言われた。現時点の資産価値は2600億円ほどで買収価格との差、約4000億円が「のれん代」として計上されている。