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「引きこもり」するオトナたち

「深海魚を釣るような感覚」がカギ!?
震災時にも活きた脱・引きこもりの“仕掛け”

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第69回】

引きこもり生活中を襲った震災
自ら支援を求めて動いた30代男性

 3月11日の東日本大震災をきっかけに、被災地の引きこもり男性が、自ら支援を求めて相談に訪れたケースがある。

 宮城県のアパートで1人暮らしをしている30代男性は、これまで10年余りにわたって、引きこもり状態の生活を送ってきた。

 彼は、親元を離れ、宮城県の大学に入学する。しかし、そこは、目標設定も何も考えないまま、「偏差値で見ると、君はこのレベルの大学」と輪切りにされて、通い続けただけの学校。大学3年になって、自分が目指していたものとは違う研究分野に入ったとき、すごく人が苦手なことに気づいた。

 ずっと1人きりで研究してきた。そのうち、何の勉強をしているのかがわからなくなり、このままの状態で社会には出られないと思って、大学を辞める。

 一体、何のために働くのか。仕事をする意義が見いだせなくて、就職ができない。大学を中退したことも、親には内緒だった。

 その間、彼は実家から、月に十数万円の仕送りを受けていた。両親は、ともに自分たちのことで忙しくて、息子の状況については、まったく知らなかったのである。

 彼は、お盆休みや年末年始になると、実家に帰宅。親から「どうしてるの?」と近況を聞かれると、「いま、就活中だ」「バイトをしている」などと言い逃れをしてきた。

 とはいえ、自分の年齢も30歳を超え、これ以上ウソをつき続けることに、限界を感じていたという。

 そんなとき、たまたま大震災に遭遇した。激しい揺れのため、部屋の中のありとあらゆるものが転倒した。

 1人でアパートに引きこもっていることが怖くなって、「どこかに行かなくちゃ」と思った。

 ネットで「引きこもり」というキーワードを検索してみた。その頃すでに、自分が引きこもりであることを認識していたのである。

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

「「引きこもり」するオトナたち」

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