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世界初のアンドロイド端末を発売
「発想力と実行力」で大手を凌駕
イデアクロス社長 中嶋公栄

週刊ダイヤモンド編集部
【第152回】 2011年6月23日
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イデアクロス社長 中嶋公栄
Photo by Kazutoshi Sumitomo

 世界初の最新鋭端末を、従業員数わずか25人のベンチャー企業が世に送り出した。

 昨年8月に、イデアクロスが発売したNEXTOUCH (ネクスタッチ)は、世界で初めて10.1インチの大型液晶ディスプレイを採用したアンドロイド端末である。フェリカ(非接触型ICカード)のリーダーライターを搭載したのも世界初の試みだ。

 アンドロイド端末といえば、スマートフォンやタブレット端末を思い浮かべる人が多いだろう。ネクスタッチは、大手メーカーがこぞって参入するそれらの市場ではなく、個人認証が可能なフェリカを組み合わせることで、デジタルサイネージ(電子看板)の市場へ参入した。

 一般的なフェリカを用いた携帯端末によるサービス(クーポン、ポイントの付与等)は、あくまでもリーダーライターだけを使用している。だが、ネクスタッチは、サイネージ機能を使って、店舗独自のキャンペーン情報を臨機応変に流すことができる。来店客を自社の会員サイトへその場で誘導するなど販促効果を高め、リピート率を高めることができるのだ。

 じつは、ネクスタッチを企画・開発したイデアクロスの主力は、ソフトウエア事業である。SaaS(サース。ユーザーが開発者からソフトウエア提供を受ける際に、必要な機能のみを選択して利用できるようにしたソフトウエア)で提供する顧客管理ソフトを利用すれば、ネクスタッチを介して得た会員情報、クーポン等の一元管理もできる。小売り店・飲食店、医療機関などの販路拡大を狙っており、3年後に販売台数20万台突破を目指す。開発部隊は韓国で、製造は台湾などのアウトソーシングに任せている。

 イデアクロス社長の中嶋公栄は、「ものまねは大嫌い。これまでにない製品・サービスを生み出すことが絶対条件」と言い切る。大手の市場を避け、独自の土俵を築き経営は軌道に乗った。

起業家を目指したきっかけは父のつぶやき

 中嶋は岐阜県の山間部の村に生まれた。父は、250年以上続く家業である林業、旅館業、養蚕業を継ぐ傍ら、村政に携わる地元の名士で、「商売人というよりも政治家だった」。国政を目指したこともあり、名前「公栄」の名づけ親は、親しかった田中角栄元首相である。

 起業家を志すきっかけをつくったのは父だ。小学4年生のときに、木材問屋の競りに連れて行かれた。樹齢400年のスギを売ってくるよう父に命じられ“初競り”に飛び入りで参加したところ、活発な少年の存在に場は盛り上がり、たちまちご祝儀相場になった。「商売人やな」。そうつぶやいた父のひと言に、「自分は商売に向いている。将来は社長になる」と誓った。

 18歳で名古屋の専門学校へ進学した。時は1980年代後半、バブル真っ盛りである。アルバイトに明け暮れながらも、「皆が不動産で儲けている。挑戦することなく学生を続けていいんだろうか」と学業の道を捨てて、不動産会社に就職した。まもなく、商売人の本領は発揮され、トップセールスに躍り出た。

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