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最新の科学でわかった! 最強の24時間
【第10回】 2017年5月30日
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長沼敬憲

「1週間」は人工的な周期、
体の歪みを蓄積させるリズムだった!

私たちの体の中には、「体内時計」と呼ばれる時間が備わっています。
この体内時計を動かす源にあるのが「時計遺伝子」(体内時計をつかさどる遺伝子群)で、私たち人間の体はこの遺伝子によって、目覚める、お腹が減る、眠くなる、などといった生きるための基本的なリズムを刻んでいます。人体の活動の多くは時計遺伝子によって支配されているといってもいいかもしれません。
この時計遺伝子の働きに基づいた時間医学、時間栄養学といった最新の科学的知見をベースにして、体内時計に従って日々、常に快適で効率よく過ごす秘訣を『最新の科学でわかった! 最強の24時間』(ダイヤモンド社)より抜粋して紹介します。

1週間という人工的なリズムが
体に歪みを蓄積させていく

 外側の世界は、地球が24時間で自転することで1日のリズムが刻まれますが、体の中では1日のリズムは約24.5時間の周期です。このわずかなズレを放置するとやがては昼夜が逆転してしまうため、朝日を浴びたり、朝食をとったりすることで時計遺伝子をリセットしているのです。

 1か月のリズムは月のリズムが基本になるため、「概月リズム」(サーカルナリズム)と呼ばれていますが、こちらは29.5日周期であるため、365日の1年のリズムと比較すると、29.5×12=354日となり、11日のズレが生じます。そのため、地球の公転周期である365日を12で割ることで現在のカレンダー(新暦)が作られるようになりましたが、月の周期も女性の月経や干満と重なるなど、体内時計とのつながりが想起できます。時計遺伝子のような裏付けがないため、健康との関わりははっきりとはわかりませんが、昔の人は月の満ち欠けを基準にして、時間のサイクルを感じていたわけです。

 一方、1年のリズムについては、春夏秋冬の季節感のもとになっています。動物の冬眠、落葉のサイクルなどは、この時間を基準にしています。

 こうした自然界に存在する3つの時計(1日、1か月、1年のリズム)の調和を乱してしまうのが、「1週間のリズム」でしょう。
 月曜から金曜まで働き土・日曜に休む……一般的には、こうした1週間のリズムが繰り返されていますが、このリズムは人間の都合でつくり上げた人工的なもので、自然界のリズムに沿ったものではありません。

 にもかかわらず、社会の仕組みは1週間のリズムによって動いており、私たちはその繰り返しを当たり前のように感じているでしょう。たとえば、体が求めている休息日と社会的な休日(土曜日、日曜日など)がピタリと一致するとは限りません。ですから、1日のリズムを整えるだけでは、どうしても体に歪みが出てきてしまいます。

 こうした社会に生きている以上、いくら健康に気をつけていても、つねに体調がベストでいられるとは限りません。また、やむをえず残業をしたり、時に暴飲暴食をしてしまったり、体への負担が重なることもあるでしょう。

 医師の佐古田三郎氏(刀根山病院院長)は次のようにアドバイスします。

 「1日のリズムを整え、睡眠と食事を見直すことで、まず“調子がいい状態”を自分なりに知るようにしてください。最初のうちは、1か月に10日程度でも十分です。調子がいい日と悪い日の違いがわかってきたら、体感レベルでかまわないので、調子がいい状態のアベレージ(平均値)を上げていくことです」

 もちろん、体のゆがみは蓄積されていきますから、どこかでたまった疲労をリセットしてあげる時間も必要になります。

 医師の土橋重隆氏は、外科医として多くのがん患者と関わってきた経験から、次のようにアドバイスします。

 「人工的な1週間のリズムから離れるには、まず別の空間に出て意識をリセットさせる必要があります。空間を変えることで意識は自然と変化しますから、それだけで人工的なリズムがリセットされ、ストレスが軽減することで病気が治ることもあります。逆に固定化されたリズムに染まりすぎていると、気づかないうちにストレスがじわじわと体を蝕んでいき、やがて強制的なリセットを強いられることもあります。その代表ががんであると、私は考えています」

 夏休みや冬休みなどの長期休暇は、単なる贅沢でもご褒美でもなく、体にとって必要不可欠なリセット時間なのです。
 1日のリズムを整えることを基本にしつつ、時にはまとまったリセット時間をつくるようにしてください。

 「“まわりに迷惑をかける”という意識が、病気をつくります。時にはわがままになって、自分の好きなことを優先してください」(土橋氏)

 健康状態をキープするためにも、働きすぎのモードから離れ、自然の中で心身を解放させることをおすすめします。自然のリズムとつながることで、体の中の時計は正常に働き始めるのです。

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    長沼敬憲

    長沼敬憲(ながぬま・たかのり)
    1969年生まれ。サイエンスライター、出版プロデューサー&エディター。30代で医療・健康・食・生命科学の分野の取材を開始し、代謝・免疫・腸などの専門領域を中心に多くの医師・研究者をインタビュー、書籍の企画編集を手がける。エディターとして累計30万部を超えた「骨ストレッチ」シリーズ、『人の健康は腸内細菌で決まる!』(技術評論社)、『医者が教える長生きのコツ』(PHP研究所)、『医師と僧侶が語る 死と闘わない生き方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などを担当。著書に『腸脳力』(BABジャパン出版局)、共著に『人生を変える骨ストレッチ』(ダイヤモンド社)などがある。

     


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    人間には「時計遺伝子」が存在し、その遺伝子の働きによって、起床、就寝、睡眠、食事、代謝、学習効率など、日常の行動のすべてが支配されているといっても過言ではない。代謝が進みやすい時間帯、脂肪が蓄積しやすい時間帯、集中力が高まりやすい時間帯、運動効率の上がりやすい時間帯、細胞修復の進む時間帯、体調の乱れやすい時間帯、睡眠に入りやすい時間帯……など、人の1日の行動には、それぞれ最も適した時間帯がある。さまざまな日常行動にとって一番効率のいい時間帯を理解して、どうせ同じ時間を使うなら最適な時間に行動する生活を習慣づけることをおすすめしたい。

    「最新の科学でわかった! 最強の24時間」

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