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一流の睡眠
【第14回】 2016年9月21日
著者・コラム紹介バックナンバー
裴英洙 [医師・MBA/ハイズ株式会社代表取締役社長]

寝つけない人がやめるべき5つのこと

日本のビジネスパーソンの3分の1が、「十分な睡眠がとれない」と悩んでいると言われます。

しかし、眠れなくなっている原因が、いつの間にか身についてしまった「習慣」にあることに気づいている人は、少ないようです。

やめるだけで寝つきが良くなる5つのポイントを覚えておきましょう。

(本連載は、医師×MBA×経営者のトリプルホルダーで、ビジネスパーソン両方の視点と経験を併せ持つ著者が、発売まもなく増刷を重ねる新刊『一流の睡眠』から、現実的かつ具体的な「睡眠問題解決法」を教えるものです)

寝つきが悪くなる5つの「悪習慣」

 次の5つは、ビジネスパーソンがやってしまいがちな、睡眠前の「悪習慣」です。

(1)布団の中でのスマホ

 (2)寝る前のカフェイン

 (3)帰宅中の電車内での「うっかり寝」

 (4)帰宅直前のコンビニ立寄り

 (5)夕食のドカ食い

 この5つは、ビジネスパーソンの何気ない日常にするっと入り込んでくるため、習慣化してしまうとなかなか抜け出せない特徴があります。睡眠に与える悪影響と、対応策を一緒に考えていきましょう。

風呂上がりの「眠たい」が
スマホを閉じるサイン

 よく言われるように、スマートフォンから出る「ブルーライト」は、睡眠とは相性が良くありません。夜間に、青色波長成分を多く含む環境(460~470nm)に身を置いてしまうと、眠気を誘うメラトニンの分泌と体温下降が抑制されてしまうことが認められています。

 大切なことは、「眠たくなってきたな」と感じたらできるだけスマホはいじらない、と意識することです。眠気に逆らってスマホを操作し続けると、ブルーライトだけでなく、届いたメッセージやニュースの内容にも刺激を受け、目がどんどんと冴えてきます。理想論を言えば、寝る2時間前からスマホをシャットアウトできればベストです。

 さらに、ブルーライトは光エネルギーが大きいため、見ようとするところが見えなくなる「加齢黄斑変性」という目の病気をもたらす恐れも指摘され始めています。

寝つきの悪さが日常化してしまう

「17時前」に飲むコーヒー
「17時以降」に飲むコーヒー

 ビジネスパーソンにコーヒー好きの人は多いと思います。カフェインの覚醒作用と「最も効果的な眠気覚ましのコーヒーの飲み方」は、拙著『一流の睡眠』で詳しく紹介していますが、寝る前にコーヒーを飲めば、当然眠りを妨げることになります。

 カフェインを摂取してから、血液中のカフェイン濃度が薄れるまでにかかる時間は、通常2時間半~4時間半くらいと言われていますが、個人差はあります。そこで、「夕方17時以降はコーヒーは飲まない」など、時間を決めてルール化してしまうのがよいでしょう。

 コーヒーが大好きで、どうしても夕方以降に飲みたくなった場合は、カフェインレスコーヒーを試してみましょう。私もコーヒー好きで数種類のカフェインレスコーヒーを試しましたが、風味や苦みは若干劣るものの、夜の睡眠を阻害しないメリットを踏まえると、個人的には十分に楽しめる味でした。

残業後はコンビニに立ち寄らない

 コンビニエンスストアの照明は、照度2500ルクス以上と非常に明るいものです。帰り際や、就寝前に近所のコンビニで買い物したりすると、光の刺激によってメラトニンの分泌がしにくくなり、眠りに入るタイミングが遅れます。

 とくに、雑誌などの立ち読みは、つい長居してしまううえ、照明の刺激と雑誌の内容の刺激で脳が覚醒してしまうので、絶対に避けたい行為と言えます。

 また、美味しそうな食べ物や雑誌の誘惑は、帰宅後の生活リズムを乱すかもしれません。理由もなくコンビニに寄って帰る日課がある人は、より良い眠りのために、ぜひ見直しましょう。

電車内での「うっかり寝」が
睡眠リズムを壊す

 疲れ切って電車に乗り込んだ夜は、ついうとうとしてしまいますよね。運良く座席が空いていれば、うっかり熟睡してしまうこともあるでしょう。

 でも、これもできる限り避けたい行為です。帰りの電車の中で熟睡してしまうと、寝室に入ってからの寝つきが悪くなります。すると睡眠のリズムが崩れ、翌朝の目覚めが悪くなり、出勤中の電車でもウトウトして、気だるい状態で仕事を開始する、という悪循環を起こしがちです。少し眠くても、帰りの電車ではなるべく眠らないことが、夜の睡眠の質の上昇につながります。

 また、当然ながら、電車内で「うっかり寝」をすると、バッグを開けたまま大口を開いて寝てしまったり、終着駅で駅員さんに起こされたり、といったことにもなりかねません。つまり、盗難や乗り過ごしによるタクシー代など、社会的・経済的なリスクがあります。

「睡眠不足の人は太る」の理由

 一般的に、夕食や夜食を食べ過ぎると肥満になりやすいことは知られていますが、不眠と肥満の関係を示す興味深い研究があります。

 健康な成人男性を対象に、睡眠時間と食欲に関するホルモンの関連を調査したところ、睡眠時間が短くなると、食欲を抑制する「レプチン」の分泌が低下し、食欲を増進する「グレリン」の分泌が増えていたのです。

 レプチンは、満腹中枢に働きかけて食欲を抑制しますが、分泌バランスが崩れることで、食べ過ぎたり脂肪分の多いものを好んで食べたくなったりします。グレリンは、レプチンとは反対に食欲旺盛にするホルモンですから、分泌量が増えれば増えるほど、たくさん食べ物がほしくなります。

 つまり、短い睡眠時間で寝不足が続くと、食欲抑制のタガが外れ、食欲増進にドライブがかかることになり、結果として肥満につながりやすくなるのです。

 そう言われても、「起きている時間が長ければ、その分カロリーを消費するから、むしろ太りにくいのではないか」と考える人もいるでしょう。しかし、ちょっと考えてみてください。睡眠不足が続くと、日中も眠気でボーっとして動くことが億劫になりますから、体の活動量が低下しやすいのです。ホルモンバランスの乱れと日中活動の低下のダブルパンチで、太りやすくなるのです。

 また、肥満になると、睡眠時無呼吸症候群になりやすいことが知られています。これは寝ている時に一時的に息が止まってしまう病気で、肥満による首回りへの脂肪沈着により、空気の通り道が狭くなることが原因の1つだと言われています。睡眠中に呼吸が止まると眠りが浅くなり、睡眠の質は下がります。それが続くと、不眠症につながりやすくなります。


 では最後に、もう一度おさらいしておきましょう。

(1)布団の中でのスマホ
(2)寝る前のカフェイン
(3)帰宅中の電車内での「うっかり寝」
(4)帰宅直前のコンビニ立寄り
(5)夕食のドカ食い

以上、5つの「悪習慣」に思い当たる方は、すべてを一度に改善するのではなく、1つずつ、少しずつ、できることから改めていきましょう。
 

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裴英洙 [医師・MBA/ハイズ株式会社代表取締役社長]

はい・えいしゅ/医師・医学博士、MBA。ハイズ株式会社代表取締役社長。

 

1972年奈良県生まれ。 金沢大学医学部卒業、金沢大学大学院医学研究科修了。金沢大学医学部卒業後、金沢大学第一外科(現・心肺・総合外科)に入局し、大学病院や基幹病院を中心に、主に胸部外科(肺がん、心臓病など)に従事し、日々手術に明け暮れる。その後、金沢大学大学院に入学し、外科病理学を専攻し医学博士を取得。さらに、病理専門医を取得し、市中病院にて病理医として病気の最終診断にかかわり、年間1万件以上の重大疾病の診断をこなす。

また、医師として働きつつ慶應義塾大学大学院経営管理研究科(慶應ビジネス・スクール)にて医療政策・病院経営の第一人者の田中滋教授に師事。同ビジネス・スクールを首席で修了。フランスグランゼコールESSEC大学院交換留学。ビジネス・スクール在学中に医療機関再生コンサルティング会社を設立。多数の医療機関の経営支援、ヘルスケア企業の医学アドバイザー業務などを行なっている。 現在も医師として臨床業務をこなしつつ、臨床の最前線からのニーズを医療機関経営に活かすハンズオン型支援を行なう。

著書に『10の仕事を1の力でミスなく回すトリアージ仕事術』『なぜ、一流の人は「疲れ」を翌日に持ち越さないのか』(ダイヤモンド社)、『医療職が部下を持ったら読む本』(日経BP社)などがある。

 


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