東京でも徐々に普及しはじめたシェアサイクルが、中国で爆発的に広まっている。この背景にはスマホの普及があるという。いったいどういうことなのか? 上海在住19年、『90分でまるわかり中国』(朝日新聞出版)著者の亀田純香氏に、その実態を寄稿していただいた。

左が東京のシェアサイクル、右は上海のシェアサイクルの様子(写真:筆者提供)

 まず2つの写真を比べていただこう。

 左が東京のシェアサイクル。港区、千代田区、新宿区などが連携を取り進めていて、いずれも電動自転車だ。坂道もスイスイ走れて快適だが、まだまだ広く知られているとは言いがたい。

 一方、右の写真は上海のシェアサイクルの様子だ。

 地下鉄駅前の広場を埋め尽くすように置かれた自転車のほとんどがシェアサイクル。電動もあるが、ほとんどがシンプルな自転車だ。これがこの1年ほどで爆発的に普及したのだ。黄色とオレンジはそれぞれが別の会社のもので、現在は、これに加えて青やグリーンもあり、主に4社で競いあっている。

 中国のシェアサイクルは、アプリをダウンロードして登録をすれば借りることができ、料金はおおよそ30分で0.5~1元(8~17円)程度。価格も手ごろなうえに指定エリアに戻さなくてもよく、自転車を駐輪できる場所に乗り捨てすることができるのが魅力で一気に普及した。

 競合する会社同士が競り合いを続けていて、それぞれが利用者を囲い込もうと懸命だが、サービスやクオリティーで一歩リードしているのが、立ち上げから幾度も改良をしてきたオレンジのMobike(摩拝単車)だ。中国の日本人社会では、シェアサイクルの代名詞とも呼べるMobike、通勤で使う駐在員も多い。Mobikeは他社と比較して自転車の品質もよく、最近では前カゴ付きや女性でも使いやすい、こぎやすいモデルも登場している。ただ、交通ルールなどをよく理解していないと事故につながることもあるので、注意は必要だ。