日本銀行の“株価”とも称される日銀出資証券の価格は、日本経済に対する期待のバロメーターとなっているが、長期凋落傾向にある Photo by Ryosuke Shimizu

 東京証券取引所のジャスダック市場に日本銀行の出資証券が上場されている。これは、一般の株式会社の株式に相当するものだ。黒田東彦氏が日銀総裁に就任した2013年3月にその価格が9万円台へ跳ね上がったのだが、その後は下落傾向が続き、今月は3.6万~3.7万円で売買されている。

 日銀は株式会社ではなく認可法人で、その資本金は1億円だ。日銀法は「日本銀行の資本金のうち政府からの出資の額は、五千五百万円を下回ってはならない」と定めている。実際、16年3月末時点で政府の出資は5500万8000円、残りの4499万1000円は民間等の出資だ(うち個人は3999万1000円、千円未満切り捨て)。

 1億円のうち、民間保有分は45%しかないので、市場で取引される日銀出資証券は少ない。その上、実は購入しても投資家にとっての魅力はあまりない。

 第一に、配当利回りが低い。日銀の剰余金(利益)から出資者への配当は、日銀法によって払込出資金額に対して年5%以内に制限されている。15年度は総額500万円が出資者に支払われており、16年度も同様だろう。1口(100円)の配当は5円で、市場価格を3.7万円と仮定すると、利回りは0.014%にしかならない。