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今週のキーワード 真壁昭夫

行動経済学から見えてくる“政治混乱”の危険な実態
「近視眼的な損失回避行動」で大損失を被った日本人

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第181回】 2011年6月28日
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 2012年、世界的にいくつかの政治イベントが予定されている。米国とフランスでは大統領選挙があり、中国では胡錦濤国家主席から習近平副主席へのリーダーのバトンタッチが行なわれる。

 政治の変化は、時として経済に大きな影響を与えることがある。リーダーたる人は、できればその地位を保つべく、国民に耳触りの良い政策運営をしがちになる。しかし、短期的に耳触りの良い政策は、必ずしも中長期的に最も適切な結果をもたらすとは限らない。

 近視眼的に利益をもたらしたり、損失を回避したいと思ったら、それよりもはるかに大きな“つけ”が回ってくることもある。政治とは、よくも悪くも、経済にとってとても重要な要素なのである。

 現在のわが国の状況を見ると、政治の状況はかなりひどい。多くの人が早く辞めて欲しいと思っている菅首相は、“駄々っ子”のように詭弁を弄して、1日でも長く首相の座にしがみつこうとしているように見える。

 菅首相には、「政治は国民のためにある」という基本原則に対する認識が欠如しているのだろう。与党内からも、そうした態度に厳しい批判が出ている。それでも、菅首相は首相の地位から降りない。

 ただ、それを批判しているだけでは問題の解決にはならない。そうした状況を作り出した民主党に、わが国の政策運営を委ねたのは、我々国民だからだ。国民の多くが民主党を支持したがゆえに、常識では考えられないような人が政権の座についてしまったのである。

人はどうしても目先の利益に引かれる
行動経済学における「損失回避行動」の失敗

 あくまで結果論だが、仮に国民が民主党に多くの票を投じることがなければ、ここまでひどい政治にはならなかったかもしれない。

 伝統的な経済学では、人間は常に合理的に行動することが前提になっている。つまり、人は決して「非合理的=愚かな行動」はとらないことになっている。しかし、自分自身の行動を振り返ってみると、かなり不合理なことをしているし、後悔するような愚かな行動もしているものだ。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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