1.薄日は差したか

 今年は長梅雨らしい。ギリシャの新内閣は議会で信任され、財政赤字削減法案の成立と追加支援策のメドが立った。ところが、世界景気のソフトパッチの行方はいまだ判断できない。

 また、米国では財政赤字削減法案が紛糾を続けており、日本に至っては政局の停滞が長期化する公算である。金融市場は相変わらず厚い雲に覆われており、市場参加者は模様眺めムードを維持している。

 長梅雨はいつ明けるのか。例年通り7月と見ている。(1)内外の景気指標は7-9月期の持直しを示し始め、(2)欧州ではギリシャに対する追加支援が具体化し、(3)米国では財政赤字削減策の与野党協議が妥結され、(4)日本では二次補正予算に続いて原子力損害賠償支援機構法案が成立する可能性が高く、(5)金融市場では暦年下期のリスクマネーが資本市場に還流し易い時期を迎えるからだ。

 ギリシャ支援に向けたステップは前進したが、そもそも財政不安を解決する抜本策ではない。いまだに暴動も続いている。そもそも、既述5点は全てメインシナリオに過ぎず、確認されたわけではない。

 相変わらず金融市場は厚い雲に覆われており、いまだ薄日が差したとは言えない。そして梅雨が明けると、今度は暑い夏が本番を迎える。特に今年は未曾有の電力不足という厳しい夏となりそうだ。

 目下の金融市場は、欧州のギリシャ問題、米国の財政赤字問題、日本の東電問題と、各国のイベントリスクが様子見ムードを醸成する状況にある。ところが夏以降の金融市場は、後述する新たなテーマに直面すると見ている。

 いずれにせよ重要なのは、実体経済である。今回は世界景気のソフトパッチは一時的と見る背景と、その後の景気回復を制約する要因から順に整理したい。