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東電の株主総会はなぜあんな結果に終わったのか?
“日本株式会社”を支え続ける「優しい仲間意識」の罪

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第182回】 2011年7月5日
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なぜ現経営陣の続投が決まったのか?
株主総会で露呈した“東電的体質”の根深さ

 6月28日、注目を浴びる東京電力の株主総会が、都内のホテルで開催された。当日は過去最多となる9309名の株主が出席し、経営責任や原子力発電事業に関する様々な議題が提出され、過去最長の6時間9分に及ぶ議論が展開される総会となった。

 今回の総会で最も注目されるのは、任期切れとなる取締役17人のうち、16人が賛成多数で再任されたことだ。再任されなかったのは、原発事故の処理体制の批判をまともに受けた清水社長1人だった。

 つまり、過半数の株主は「今までの取締役に、今後も東電の経営を任せる」という意思表示をしたのである。

 本当に、それでよいのだろうか。福島の原子力発電所事故に関連して、東電の株価は大幅に下落した。大震災はわが国にとって未曽有の大災害で、東電にとってもできることは限られていた。

 しかし、その後の対応については、専門家の間からも多くの批判が出ている。出席した株主からは、「事故処理の遅れなどは、東電サイドの人災だ」と糾弾されている。

 それにもかかわらず、東電の株主は現経営陣の続投を決議し、「脱原発議案」を否決した。そこに、東電の“東電的体質”を感じざるを得ない。「原発事故に関することは全て天災であり、経営者の責任ではない」という、“東電的体質”がよくわかる。

 しかも、そうした決定を支持したのは、6割以上の株式保有割合を持つ法人と言われている。その背景には、有力企業経営者間の一種の“仲間意識”=“日本株式会社”のもたれあいの構図があるのだろう。

 それでは、本来の意味でのコーポレートガバナンスを期待することはできない。また、わが国は世界の潮流から取り残されてしまう。何故、こうした事態になっているのだろうか。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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