とるべき具体的な行動がわからない?
自分を内省できない「反面教師」のリーダー

 「リーダーシップとは何か」と問われると、色々な答えが返ってくる。しかし、「自分が実践するリーダーシップの具体的定義、具体的行動原則にしていることは何ですか」と問うと、管理職をやっている人で、すぐに手を挙げて答えられる人は少ない。

 自分にとってのあるべき行動が具体的に定義できていなければ、自分の行動を内省する基準がなく、日々の実践を通じてリーダーシップを成長させていくことなどできない。

 あるいは、その成長はのんびりとしたものとなり、このスピード変化の時代に通用しない管理職になってしまう。

 ある企業から、「抽象的なリーダーシップ論はいいから、個人個人に自分がコミットメントするリーダーとしての具体的な行動を決めさせて欲しい」という研修依頼を受けた。とても実践的で、面白い取り組みである。

 そのプログラム全体の中の1つのメニューとして、「反面教師」について考えてみるというワークショップもやった。

 よいモデルばかりではなく、「こういうことをやったらリーダーとして信頼を失う」「チームをダメにする」ということも確認しておいたほうが、出席者のためになるからだ。バカらしいと思うことでも、人は気づかぬうちに、自分がその行為をやっていたりするものだ。

 たとえば、電車の中で足を広げて座る男性。自分の隣や前にそういう人がいたら腹が立つのに、気づかないところで自分もやっている人はいるのではないだろうか。

 「反面教師」を議論する1つの題材として、拙著『フリーライダー――あなたの隣のただのり社員』でも紹介した、「暗黒フォース型のリーダー」を取り上げた。そして、社内で自分が出会ったことのある暗黒フォース型リーダーの言動分析を、実体験を基にグループ・ディスカッションした。