松本復興相の辞任劇により
“菅離れ”はさらに加速

 松本龍氏はどうしたのだろう。

 小幅改造で復興相に就任した彼を、私は「順当な人事」と評価しただけに失望が大きい。

 彼は防災相として、“政局”に目を奪われずに黙々と大震災対策に取り組んでいるように見えた。会ったことも話したこともないのに高く評価した不明を恥じざるを得ない。

 それにしても、あの尊大な態度や暴言には驚くばかりだった。被災地の人たちとの信頼関係が失われたのだから辞任は当然だ。

 今のところ後任人事は難航しているらしい。松本氏も何度も辞退した後に引き受けたというから次はどうなるのだろうか。

 どうやら、菅直人政権の液状化は止めようがなくなった。退陣が1日早ければそれだけ首相のためにも日本の政治のためにもプラスになるという段階を迎えている。

 週明けに発表された読売、毎日新聞の世論調査では、首相が8月末までに辞めるべきだとする人が7割を越えた。そのうち「できるだけ早く」とした人が、読売では37%、毎日では44%に達している。もうどう考えても首相の反転の可能性はない。

 今回の松本復興相の辞任劇は、世論の菅離れにダメ押しとなるだろう。

延長期間の10日以上を浪費
なぜ国会空転を招く人事を行ったのか

 さて、延長国会は、2週間近い空転を経て、6日にようやく衆院予算委員会が開会の見通しとなった。

 70日の延長期間の10日以上を浪費したのなら、初めから50日間の合意通りにすればよかったではないか。国会の開会中は多額の経費がかかることを思うと許せない気持ちになる。

 民主党の安住淳国対委員長は、与野党国対委員長会談の場で、「大きな原因を作ったのは政権与党側だ」と認め、「申し訳ない」と陳謝したという。おそらく彼は、「大きな原因を作ったのは菅直人首相だ」と言いたかっただろう。今、最も菅首相に不信感を募らせているのは、小沢一郎元代表でもなく、鳩山由紀夫前首相でもなく、党執行部かもしれない。

 一体、自民党参院議員を政務官に起用することが、2週間の国会空転という代償を払うに値することなのか。