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汚染水漏洩を防止する地下遮蔽壁はいつできるか

――福島原発震災 チェルノブイリの教訓(12)

坪井賢一 [ダイヤモンド社論説委員]
2011年7月8日
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 東京電力は6月17日に、「当面の取り組みのロードマップ」、つまり工程表を改訂している(下図参照)。赤字が追加項目だ(★注①)。

 「Ⅰ冷却」と「Ⅱ抑制」をご覧いただきたい。ステップ2の「冷却」は、「循環注水冷却」を3ヵ月から6ヵ月で「冷温停止状態」となっている。これが目標だ。

 冷温停止とは、本来は原子炉圧力容器の中が100度以下の冷温にいたり、核分裂反応が停止するという意味だろうが、福島の場合は違う。

 すでに3つの原子炉の中で核燃料棒は溶融し(メルトダウン)、圧力容器の下に溶岩のように溜まり、一部は格納容器下部まで落ちているといわれる(メルトスルー)。実際にどうなっているかは、数年後か十数年後にふたを開けるまではだれにもわからないだろう。

 いずれにせよ、現状では圧力容器の下部の温度が外側で100度を超えているわけだから、ぐつぐつと沸騰している状態だ。水(当初は海水)をメルトダウンした核燃料に延々とぶっかけて冷やしているわけである。

 水は当然のことながら放射性物質に汚染され、それが建屋の地下に溜まっている。この汚染水は1号機から4号機の建屋地下に9万7760m3、プロセス主建屋と高温焼却炉建屋に2万630m3、計11万8390m3が溜まり、あふれそうになっている(7月5日想定)。

 そこで「循環注水冷却」システムを当座の漏水対策(★注②)として6月27日に稼動したが、トラブルが続出し、ようやく7月2日に運転を開始している。この目的は、汚染水が施設からあふれることによる「海洋への放出リスクと地下水への漏洩リスクを低減させる」(東電資料)ことだ。

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坪井賢一 [ダイヤモンド社論説委員]

1954年生まれ。78年早稲田大学政治経済学部卒業後、ダイヤモンド社入社。「週刊ダイヤモンド」編集長などを経て現職。著書に『複雑系の選択』『めちゃくちゃわかるよ!経済学』(ダイヤモンド社)『浦安図書館を支える人びと』(日本図書館協会)など。


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