お酒は美味いが、酔っ払っていると仕事ができない。トラックやバスの運転手は2011年から点呼時に飲酒チェックが義務づけられたが、他の業務には広がっていない。しかし、就業中のお昼近くになっても「昨日の酒が残っている」と明らかに酒臭い人がいる。これはやはり経営者としては勘弁してほしいところ。なので、以前から業務用のアルコールセンサーに興味があったのだが、今回実機をお借りできたので早速レビューをした。

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アルコール検知機で従業員の酒酔い度をチェック!

燃料電池式センサーを採用した低価格な業務用検知機

 今回お借りしたのはタニタの業務用アルコールセンサー「FC-1000」。高精度で低価格というのが選定した理由だ。実はこの企画はずっと前から考えていたのだが、安価なアルコールセンサーはどうにも結果が安定せず信頼できなかった。そのため記事化できなかったのだが、業務用ならさすがにしっかりしているはず、とお借りしたのだ。

 アルコールセンサーは、呼気をセンサーに吹き付けて飲酒しているかどうかをチェックするガジェット。アルコールを検知する方法は3つあり、それぞれメリット・デメリットがある。たとえば安くて感度が高い「半導体式」はアルコール以外のガスにも反応してしまう。精度が高い「接触燃焼式」は衝撃や振動に弱く消費電力も大きい。精度が一番高い「燃料電池式」は価格が高くメンテナンスコストもかかる、という感じだ。当然、精度を求めるなら、コストはかかるが燃料電池式がいい。「FC-1000」も燃料電池センサーを搭載している。

 デメリットである高コストだが、実はこの製品の価格は3万8000円(税別)とお手頃。安価なセンサーだと1000回くらいで寿命が来るのだが、「FC-1000」は1万回以上もしくは1年経過と耐久性が高い。消耗品のコストはかかるが、業務用とすればたいしたものではない。

 「FC-1000」はさまざまな利用状況を想定しているのも便利だ。PCと接続して多数の従業員で使ったり、拠点や車ごとに設置してAndroidスマホと連動して使ったり、スタンドアローンで使うこともできる。1端末でも利用できるし、多数の端末でも利用できる。今回は、Androidスマホと連携して使ってみる。

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タニタの「FC-1000」。サイズはD33xW72xH145mmで、重量は212g

設定や操作は意外とカンタン!
テスト動作はあっけなくクリア

 まずは電池を入れ手年月日を設定する。本体の「1」「3」ボタンで選択して「2」ボタンで決定する方式だ。スタンドアローンで利用する場合は、IDの設定などを行なうが、今回はスマホを利用するのでナシ。スマホとは専用のケーブルで接続する。「FC-1000」側がminiUSBで、スマホはイヤホン端子につなぐのがユニークだ。

 続いて、Androidスマホに「ALBLO」アプリをインストールする。Google Playで検索すると「ALBLOID for Android」というアプリも見つかるが、これは複数の端末を使って管理する場合に利用する。「ALBLO」アプリを起動したら、結果の送信先、アラートの送信先、メールの送信設定などを入力する。

ALBLO for Android

価格
無料
デベロッパー
Logic Corporation
ダウンロード
こちら
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電源は電池でもACアダプタでもOK
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「ALBLO」アプリをインストールする
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メニューから「設定」を開く
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「送信先」をタップする
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結果の送信先のメールアドレスを設定する
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アラートの送信先を登録する
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メールの送信サーバーを設定する
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ユーザーの情報を登録する
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GPSへのアクセスを許可する
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専用のケーブルでFC-1000とスマホを接続する
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準備完了
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スイッチを押すと、ビープ音が鳴りカメラが起動する
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息を吹きかける
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検出し、結果が送信される
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メールが届く
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アルコールが検知された場合は、アラートが飛ぶ

ワインを1杯ずつ飲んで計測してみる

 飲んでいないときは、0.00mg/Lと表示されるが、実際に検出される場合はどうなのだろうか。お気に入りの「パナメラ キュベ ナパ2010」の最後の1本を開けてみよう。まずはまだ飲んでいないことを確認し、ワインをちびり。カベルネ・ソーヴィニヨンにメルロにジンファンデル。美味い!

 飲んですぐにチェックしたところ、ビープ音が鳴り、0.59mg/Lと表示された。呼気のアルコール濃度が0.1~0.5mg/Lがほろ酔いで、0.5~1mg/Lが酩酊、1~1.5mg/Lが泥酔、それ以上が昏睡となる。1杯目でもう酩酊か、と思ったのだが、実は飲酒直後に計測してはいけないのだ。口の中にアルコール成分が残っていたら当然多く検出されてしまうし、そもそもマニュアルには飲食後20分を経過してから計測するように書かれている。

 そこで、15分後(待ちきれず申し訳ありません)にうがいをして検出したら0.00mg/L。1杯じゃ酔わないのか? さらに美味しくなった2杯目を飲んで15分後に計測し、これも0.00mg/L。3杯目の15分後も0.00mg/L。何か操作を間違えているのか? と不安になりつつ4杯目の15分後の計測で、0.11mg/Lを検出してくれた。5杯目で0.12mg/Lだった。

 7杯目でやっと0.19mgと0.15mg/Lを突破した。醸造酒だと時間かかりそうなので、蒸留酒に移行。我が寝酒の「レイモン ラニョー ヘリテージ」。100年物で独特の香りがするのがいい感じ。飲み終わってから15分後に計測したところ0.28mg/Lとなった。この後、ウイスキーに移行して計測しようとしたのだが、タイミングは忘れるわ、キャプチャーは忘れるわで酔っ払ったようだ。うがいを忘れて、2.00mg/Lをオーバーし、計測エラーも起こしている。

 結論として「FC-1000」の計測精度はとても高いことがわかった。大前提として、一滴でも飲んだら絶対にクルマの運転をしてはいけないし、もっと基準を厳しくしてもいいくらいだ。

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まずは最初に0.00mg/Lであることを確認
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ワインを飲む
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15分後に測定したところ、0.00mg/L
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4杯目を飲んだ後にやっとアルコールを検出
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7杯目を飲んで0.15mg/Lをオーバーした
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度数の高い蒸留酒へ移行
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1杯で、0.28mg/Lに上がった
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58.6度のウイスキーに移行したら酔ってキャプチャーを撮れなくなった

屋外でも店舗でも計測し
遠隔地で結果を確認できる

 次は従業員の飲酒チェックに使ってみた。前述の通り、1台の「FC-1000」で複数スタッフのチェックができる。くわえていないといけないので偽装も難しい。そこで、実際にスタッフが飲んでいないかチェックしてみた。

 バーテンダーはお酒をつくる際、開けたボトルやミックスしたカクテルの味をちょくちょくチェックする。これがどう出るかに興味もあったが、見事に0.00mg/Lだった。プロフェッショナルのバーテンダーには下戸の方も多いのだが、これで納得した。この日、原価BARに出勤した全員にやってもらったが、検出されたのは筆者だけだった。たしかに、ぐびぐび飲んでしまった。

 ほかにも、スポーツ施設などアルコール禁止の場所もあるだろう。そんなところにも1台あればチェックできる。ただし、計測ごとにマウスピースを交換すること。前の人の匂いが付いていると正確に計測できないためだ。多人数のチェックを行なうなら、付属のストローホルダーを使う手もある。これなら市販のストローを使って低コストで計測できる。とはいえ、これもストローホルダーに匂いが付いたら洗う必要がある。

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原価BARのスタッフに抜き打ちで呼気チェックを行なった
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味見はしていたが、見事0.00mg/L
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筆者は味見を超えていたらしく、ほろ酔い
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ダイビングはアルコール御法度だ
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前日の夜は相当飲んだが、きちんと寝たので0.00mg/L

 「FC-1000」は原価BAR各店舗に欲しくなるほど、業務用として使い勝手がよかった。アルコールの検出精度が高く、何より耐久性が高いのがうれしいところ。価格もお手頃で、操作は簡単。データをとりまとめるソフトの操作は少々手間がかかるが、1台で複数スタッフを管理したり、逆に複数の「FC-1000」で拠点ごと車ごとに計測することも可能。データはGPSデータと計測時の写真と紐付くので、不正行為も難しい。

 業務などで酒気帯びの有無を確認する必要があるなら、検討してはどうだろう。「FC-1000」なら、価格的にも操作的にもハードルは高くない。