「米国のクレジットカード大手、VISA(ビザ)が日本に受け入れ難い“圧力”をかけている」──。ビザと取引のある日系大手の経営幹部から何やらきな臭い話を聞いた。深掘りしてみると、転換期にある日本の電子マネー市場の現実が見えてきた。
この幹部によれば、ビザがクレジットカードを発行している日本企業に対し、ビザのブランドをカードに付ける場合、電子マネー「ビザ ペイウェーブ」もあわせて搭載するよう要求しているというのだ。
言ってみれば、ビザブランドと日本では流行っていない電子マネーの「セット売り」。何とも都合のいい話ではあるが、これは日本の電子マネー勢力図を激変させかねない禁断の要求ともいえた。
日本の電子マネーの動向を読み解くには、まず、その土台となっている「非接触IC技術」について知る必要があるだろう。この技術のおかげで、私たちはカードを端末に通すことなく、ICチップ入りのカードをかざすだけで代金の支払いができる。
現在は2陣営に大別されていて、1つは欧米主導の国際規格である「タイプA/B」。もう1つが日本のソニーが開発した「フェリカ」である。