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金融市場異論百出

資金余剰が市場で顕著でもなお続く日銀の緩和策

加藤 出 [東短リサーチ取締役]
2011年7月20日
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 先日、東北地方のある金融機関の資金運用担当者からこんな話を聞いた。「日銀は“被災地金融機関支援のための資金供給”を4月から行っているが、実際のわれわれはカネが余って困った状況になっている。日銀が逆に、少し高い金利で、“被災地金融機関支援のための資金吸収オペ”をやってくれるとうれしいんだけどなあ(笑)」。

 日銀は前述のオペ以外にもさまざまな手段を使って、市場にじゃぶじゃぶに資金を供給している。日銀当座預金は3月下旬より減少して30兆円前後となっているが、これは日銀の資金供給姿勢が後退したためではない。震災後に見られた流動性不安が消え、金融機関の側が日銀からの借り入れを減らしているためである。そうはいっても、日銀当座預金は7.6兆円あれば本来足りるので、市場では強烈な資金余剰が続いている。

 一方で、被災者には保険金が入ってきており、多くの地方金融機関で預金が増加している。被災地での復興用の資金需要はまだ顕著には出てきていない。余った資金は国債市場に流れやすいが、長期国債の利回りはすでに低水準にあり、運用難に直面している地方金融機関は多い。冒頭のコメントにあった、“被災地金融機関支援のための資金吸収オペ”待望論というジョークの背景にはそのような実情が存在している。

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加藤 出 [東短リサーチ取締役]

東短リサーチ取締役チーフエコノミスト。1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを 2001年まで兼務。2002年2月より現職。 2002年に米国ニューヨークの大和総研アメリカ、ライトソンICAP(Fedウォッチ・シンクタンク)にて客員研究員。マネーマーケットの現場の視点から各国の金融政策を分析している。2007~2008年度、東京理科大学経営学部非常勤講師。2009年度中央大学商学部兼任講師。著書に「日銀は死んだのか?」(日本経済新聞社、2001年)、「新東京マネーマーケット」(有斐閣、共著、2002年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(ダイヤモンド社、2004年)、「バーナンキのFRB」(ダイヤモンド社、共著、2006年)。


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