外国人が深夜に呼び鈴…民泊トラブルが郊外マンションを脅かす

マンション住まいは便利ですが、人間関係をはじめ、ペットや音を巡る問題、不誠実な対応をする施工会社や管理会社など悩みやトラブル、困りごとは尽きません。こうしたマンションのさまざまな問題について、管理組合向けにコンサルタントをしている須藤桂一さんが専門家の立場から、生々しい実例や対応策などをご紹介します。

突然、夜中に鳴り響いた
ピンポンから悪夢が始まった

 Aさんは東京郊外の急行の止まらない私鉄駅から15分ほど歩いた30戸程度の小規模マンションに妻と共に暮らしている。リタイヤして住宅ローンからも解放され、巣立った子供の部屋を趣味のオーディオルームに改装して楽しむ、子育て世代にはちょっと羨ましい生活をエンジョイしていたのだが……。

 ある晩、寝入りかけていたところにドアホンがけたたましくなって“恐騒”曲は突然始まった。Aさんのマンションは玄関がオートロック仕様であり、各住戸のドアホンが鳴るのは玄関で来訪を確認した宅配便業者くらいしかいない。小規模のマンションで他の住人とは顔見知りだが、夜中にピンポンするような人はいないはず。インターホンをとって応えると無言で切れてしまった。恐る恐る外の様子をうかがうと外国人風の男が隣の住戸のドアを同じようにピンポンしている。そして、さらにその向こうの住戸をピンポンするとそのドアが開いて中に入ってしまった。

 このマンションは所有者の意識が高く、協力的で比較的良い管理がなされている。築約20年の割には小綺麗で、今まで集合住宅特有のペット問題や騒音などのトラブルもない。唯一の懸念といえば、入居者が引っ越して賃貸マンションとして使われる家が増えつつあることだった。