悪い情報は身体に悪い

 久しぶりに日本に一時帰国した。そこで感じたのは、日本全体が「ノシーボ効果」(逆プラシーボ効果)にかかっているのではないかということだ。毒薬でない錠剤を「それは毒薬だ」と偽って投与すると人間はその“思い込み”で死ぬことがある。今春、ハンブルク大学メディカルセンター神経学のウルリケ・ビンゲル博士等の研究でこの“逆プラシーボ効果”が明らかになった。

 今まで「風邪薬でない錠剤」を「風邪薬だよ」と偽って飲ませると、風邪の症状が改善するという「プラシーボ効果」はよく知られていた。その逆の効果もあったのだ。今回の実験でビンゲル博士は痛み止めを使ってノシーボ効果を発見した。さすがに実験で死者を出すことはできないので、実験は「痛み止め」で行われた。被験者に痛み止めを投与して痛みの緩和を認識させる。実際の効き目の持続よりはるかに早い時間に「効き目が切れた」と告げたら多くの被験者は再び痛みを感じたという。悪い情報を信じ込ませれば身体はネガティブに反応するのだ。

 久しぶりの日本は最高であった。アメリカをベースに新興国を中心に世界中を行き来しているので、“外国人”視点でわくわくしながら東京へ向かった。日系のエアラインは機材もサービスもいい。積極的にサービスを提供しようとしていたように映った。とにかく「自分の仕事をつくらないように客をコントロールしようとする」他国の乗務員とは違った。

水道水で歯が磨ける!

 成田は確かに遠い。しかし、公共交通未整備による渋滞も勘案すれば、時間距離は他国の空港に比して極端に遠くはない。東京のホテルは外国人客を呼び戻すためか各種キャンペーンをやっており、とてもリーズナブルであった。どのホテルにも清潔な歯ブラシが置いてあり、水道の水で直接歯磨きができる。ペットボトルの水や水道水にイソジンを混ぜて使わなくてもいいのだ。水道水が直接飲める水準の都市は世界で11カ国しかなく、アジアではシンガポールと日本だけだ。