外注の工程を理解していないと
異常事態にまったく対応できない

 しかしながら、外注化の初期段階を終え、次の担当者が引き継いで運用していく段階になると、確認はおざなりになる。3人目の担当者ともなると、まったくもってひどい状況になる。ましてや4人目、5人目となった日には、業務をまともに把握できているかすら怪しい。

 外注を管理する立場にありながら、外注先には一度も行ったことはない。さらに、その先にある下請けの会社は名前すら知らない。業務のつながりをまったく理解せず、下請け先のスケジュールも頭にはない。下請け会社が仕事を降りたいと言いだしても、代替候補の企業のリストアップすらできていない。業務の繁閑状況も知らないので、相手がピークのときに、さらに増産しろ、などと平気で無理を言う。

 災害や事故など発生しようものならお手上げだ。全体像が頭になく、個々の会社の個別事情を何も知らないから、全体の復興をしようとしても、何をどこからどう手をつけてよいか全く分からない。とりあえず外注先の担当者を呼びつけて叱責し、期限を切っていついつまでに事態を収集しろと頭ごなしに命令する。

 残念ながら、大企業の社員が担当する外注業務の多くはすでにこんな状態になっている。彼・彼女らの業績評価基準には、コストカットと、事故なく遅滞なく業務を遂行せよ、くらいしか書いていないから、それ以外には何の興味も持っていないのだ。

 自分で全工程の管理をしたことがなく、業務の全体観を持たない社員が、外注先に仕事を機械的に割り振っているのは、そもそも無理がある。実務を知らないし、全体のつなぎ合わせ(編集と統合)もできない。価格を下げろというのも、どこをどう改善すればよいかの知見がないから、ただプレッシャーをかけるだけである。このような状況のまま、品質が維持できるのか、大きな事故は起こらないのか、心配は尽きない。

 これでは、過去に先人たちが築き上げた企業ブランドをもとに、発注者と実際に価値を構築している会社や人(外注先)の間に入って、ピンハネしているだけだ。経済学的には、これでも「付加価値」と呼ぶのだろうが、こんなものは単なる「搾取」である。