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金融市場異論百出

米国のマネーサプライ急増
QE2効果ではない事情

加藤 出 [東短リサーチ取締役]
2011年8月3日
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 米国のマネーストック(マネーサプライ)M2が6月下旬から7月初めにかけて驚くほど急増した。6月22日から7月4日までの2週間で1646億ドルの増加(季節調整後)であり、リーマン・ブラザーズ破綻以降最大である。四半期末という季節要因も影響しているが、原因はそれだけではない。

 「FRBのQE2(量的緩和策第2弾)の効果が表れたか」と思った人もいるかもしれないが、そうではない。じつは、ギリシャの財政危機が、米国のマネーストック統計に影響を与えたのである。

 米国のMMFは、運用利回りを向上させるために、欧州系銀行にドル資金を大規模に預けていた。しかし、ギリシャ財政危機が混迷を深める過程で、彼らはリスク回避のためにそれを減らし、代わりに米国の短期国債を購入した。

 彼らの需要増も加わって、短期国債の利回りはゼロ%に近い水準に低下し、それに引きずられてMMFの利回りも低下した。それを嫌った機関投資家はMMFを解約、その資金が米国の銀行預金に流れた。統計上、それはマネーストックの増加として計上される。

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加藤 出 [東短リサーチ取締役]

東短リサーチ取締役チーフエコノミスト。1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを 2001年まで兼務。2002年2月より現職。 2002年に米国ニューヨークの大和総研アメリカ、ライトソンICAP(Fedウォッチ・シンクタンク)にて客員研究員。マネーマーケットの現場の視点から各国の金融政策を分析している。2007~2008年度、東京理科大学経営学部非常勤講師。2009年度中央大学商学部兼任講師。著書に「日銀は死んだのか?」(日本経済新聞社、2001年)、「新東京マネーマーケット」(有斐閣、共著、2002年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(ダイヤモンド社、2004年)、「バーナンキのFRB」(ダイヤモンド社、共著、2006年)。


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