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アナリストが教えるリサーチの教科書 自分でできる情報収集・分析の基本
【第6回】 2017年7月11日
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高辻成彦

リサーチにやっぱり不可欠な
戦略や財務の基礎知識
『アナリストが教えるリサーチの教科書』から情報収集・分析の基本を学ぶ

『アナリストが教えるリサーチの教科書 自分でできる情報収集・分析の基本』を上梓した、アナリストの高辻成彦さんに聞く、ビジネスリサーチの基本とは?連載第6回目は、経営戦略の調べ方について取り上げます。

経営戦略や財務分析の基本は
やはりおさえたい

 単に、データなどの情報を収集するだけでは、ビジネスリサーチにはなりません。
 どんな情報を集めるのか、得られた情報をどう見るのか・見せるのかなどを決めるには、経営戦略や財務分析の基本はやはり必要になります。

 そこで今日は、戦略の調べ方について解説します。
 といっても、ガッツリと深掘りするのではなく、あくまで基本をザックリつかむにはどうしたらいいか、という点にフォーカスします。

 『アナリストが教えるリサーチの教科書 自分でできる情報収集・分析の基本』の中でも取り上げていますが、調べようとしている会社の特徴をつかむには、その会社のみを調べるよりも、その会社が属する業界の、市場動向や競合環境と合わせて調べていく方が、特徴を見出しやすくておすすめです。

 市場動向や競合環境を分析するには、3C分析、SWOT分析、5F分析の3つを、まずおさえましょう。

3C分析

 3C分析の3Cとは、「市場(=顧客)(customer)」「競合(competitor)」「自社(company)」の3つです。

 3C分析とは、外部環境である「市場」と「競合」、そして内部環境である「自社」の分析から、自社の取るべき戦略を見出すためのフレームワークです。

SWOT分析

 SWOT分析とは、外部環境や内部環境を、「機会(Opportunities)」「脅威(Threats)」「強み(Strengths)」「弱み(Weaknesses)」の4つのカテゴリーで要因分析するものです。

 外部環境分析は、「機会」「脅威」として、内部環境分析は、「強み」「弱み」として把握します。

5F分析

 5F分析とは、マイケル・E・ポーター氏が提唱した、5つの競争要因分析です。

「新規参入の脅威」「代替製品・代替サービスの脅威」「買い手の交渉力」「売り手の交渉力」「業界内の競合他社」の5つの視点から、業界構造を把握します。

 3C分析、SWOT分析、5F分析の3つは、MBA関連の本には必ず載っています。
 企業の特徴を見出す上では、最低限知っておきたい考え方ですので、一度さらってみることをおすすめします。

主要各社の違いの見出し方

 それでは、個別の会社、とくに業界の主要各社の戦略を調べるにはどうしたらいいのでしょうか。
 以下の切り口から調べると見えてくる場合が多いと思います。

 1)用途別
 2)地域別
 3)製品・サービス別

 この切り口で調べてみて、すぐに各社の違いが見出せればいいのですが、残念ながら、分類しただけでは、すぐに違いはわからないこともあるでしょう。
 そこで、財務分析も加味した比較を行います。
 その際に、最低限、注意して見ていただきたいのは、次の項目です。

 1)業界の市場成長率
 2)売上高成長率
 3)営業利益率
 4)営業利益成長率
 5)自己資本利益率(ROE)
 6)負債比率

 これら項目ごとの各社の特徴がつかめれば、事業構造がどう違うのかも見えてきます。

 市場全体よりもその会社の売上高成長率が低ければ、市場シェアを落としている可能性がありますし、営業利益率が極端に高ければ、優位性のある製品・サービスを持っているのかもしれません。

上場企業と未上場企業では調べ方が違う

 なお、上場企業と未上場企業では調べ方が異なります。

 上場企業の場合、開示情報が多いため、調べるツールが多いです。
 たとえば、財務データであれば、決算短信や有価証券報告書から得ることが可能ですし、日々の株価については、Yahoo!ファイナンスから得られます。

 情報開示の進んでいる会社でしたら、アナリスト向けの決算説明会資料を自社サイトに載せている場合もあります。

 さらには、東洋経済新報社が3ヵ月ごとに出版している『会社四季報』では、会社情報のサマリーや今来期の業績見通しなども載っています。

 一方、未上場企業の場合は、自社サイトや記事検索のほか、帝国データバンクや、東京商工リサーチなどの信用調査会社が作成している情報を入手しないとわからないことも少なくありません。

 日本経済新聞社が提供する日経テレコンからも情報を得ることが可能ですが、とくに未上場企業の場合は、信用調査会社の情報は有益ですので、可能であればチェックしてみましょう。

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高辻成彦 (たかつじ なるひこ)

立命館大学政策科学部卒、早稲田大学ファイナンスMBA。いちよし経済研究所(東証1部・いちよし証券の調査部門)のアナリスト。主な職歴は経済産業省、ナブテスコ(東証1部)の広報・IR担当、ユーザベース(東証マザーズ)のシニアアナリスト。経済産業省在籍時は経済波及効果測定のための経済統計である産業連関表の時系列表作成に参画。ナブテスコの広報・IR担当時は日本IR協議会によるIR優良企業特別賞の所属会社初受賞に貢献。ユーザベース在籍時は業界・企業情報サービス・SPEEDAの業界レポート作成や、経済ニュースアプリ・NewsPicksの経済コメント活動に勤め、最古参ユーザーとして8万人以上のフォロワーを得る。現職では企業取材活動をもとに年間約200本のアナリストレポートを発行。日経ヴェリタスのアナリストランキングにランクイン。


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『アナリストが教えるリサーチの教科書 自分でできる情報収集・分析の基本』の著者で、アナリストの高辻成彦氏が教えるビジネスリサーチの基本。

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