『アナリストが教えるリサーチの教科書 自分でできる情報収集・分析の基本』を上梓した、アナリストの高辻成彦さんに聞く、ビジネスリサーチの基本とは?連載第9回目では、リサーチスキルについて、よりレベルアップするために取り組みたいことついて、ご紹介します。

日本経済新聞は、経済情報のスタンダード

 今日は、ビジネスリサーチを得意にするために、日頃から行いたいことについて解説しましょう。

 まず、最低限行ってほしいことは、日本経済新聞を読むことです。
 筆者は、日本経済新聞社の回し者ではありませんが、こと経済に関する日本経済新聞社のリサーチ力は、非常に高いものがあります。

業界新聞なら、さらに詳細情報を得られる

 経済的にゆとりがあれば、さらに1紙、業界新聞を読みましょう。
 自分が所属している業界や、担当している業界のものです。

 製造業全般の場合は、日刊工業新聞か日経産業新聞が汎用性が高くおすすめです。

経済ニュースアプリで
記事をチェックする

 最近では、紙媒体だけでなく、スマートフォンでチェックできるニュースアプリが増えています。
 各新聞社とも、ニュースアプリの提供を行っていますが、経済ニュースアプリとして認知度が高いのは、日本経済新聞の電子版です。

 また、ユーザベースが提供するNewsPicks(ニューズピックス)という経済ニュースアプリは、記事を読むだけでなく、FacebookやTwitterのように、記事にコメントできる点が特徴です。

同じ業界を継続的に追ってみる

 同じ業界を継続的に情報収集することで、徐々に業界知識が身につきます。
 同じ業界を継続的に見ていれば、その業界の景気動向や、新製品・サービスの情報、シェア、決算にも敏感になるでしょう。
 そして、業界の時事情報をウォッチすることで、業界を見る目が養われますし、慣れてくれば、今後の先行きについても、自分の見解が定まって来ます。

記事についてコメントを書いてみよう

 新聞やニュースアプリなどでの記事チェックと合わせて、もう一段、経済情勢に対する理解力を高めるためにおすすめなのが、記事に対してコメントを書く習慣をつけることです。

 記事を、日々チェックすることも大変重要ですが、読むだけでは、考えをアウトプットする機会がないため、時間が経ってしまえば、意外と記憶に残りません。

 そこで、気になった記事について、NewsPicksやFacebook、Twitterなどで、継続的にコメントするくせをつけましょう。

意外とむずかしい記事コメント

 いざ、記事にコメントしようとすると、意外とコメント内容が浮かばないことに気づきます。
 それは、その記事に関連する十分な知識がまだ身についていないためです。

 そこで、コメントを書く時には、ネットで検索して、記事の関連情報を調べてみましょう。それからコメントを考えれば、コメントが書きやすくなるでしょう。

 単に、感想を書くのではなく、記事を要約することを意識しながらコメントを書きます。

 継続的にコメントを書くと、記事に対する自分なりの見解が蓄積され、業界知識も徐々に増えていきます。
 「継続は力なり」です。
 半年もコメントを書き続ければ、さまざまな事象に対する自分なりの見方が、大方身につくことでしょう。