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米国債格下げの衝撃
長期停滞時代の始まり!?
不確実性、不透明性、不安定性増す
世界経済はどこへ行くのか

原 英次郎 [週刊ダイヤモンド論説委員]
2011年8月8日
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 米国では民主・共和両党の妥協が成立し、政府債務の法的上限引き上げ問題は一応の決着を見た。すんでのところで、米国債のデフォルトという最悪の事態を回避したにもかかわらず、8月4日にはニューヨークダウが512ドル安と急落し、今年の最安値を付けた。株安は世界に連鎖し、欧州、日本も株価が大きく値を下げた。

 翌5日には米国の格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が、米国債の格付けを最上級のトリプルAからダブルAプラスへと、1段階引き下げた。米国債の格下げは初めてのことだ。市場の動揺を受けて、週明けの8日朝に、G7(主要7ヵ国財務相・中央銀行総裁)が声明を発表した。その日、東京株式市場は暴落こそ避けられたが、世界的な株安連鎖に歯止めがかかることはなかった。それどころか、8日のニューヨークダウは600ドル以上急落、9日の日経平均株価も東日本大震災後の3月17日以来およそ5ヵ月ぶりに9000円を割り込み(前引けは前日比403円25銭安の8694円31銭)、他のアジア市場でも株安が広がっている。

 振り返れば、暴落の引き金は、4日にECB(欧州中央銀行)のトリシェ総裁が、欧州景気の下振れ懸念を口にしたことといわれている。その欧州も7月下旬にギリシャの救済策がまとまったにもかかわらず、今度はスペイン、イタリアの国債が売り込まれている。動揺する世界経済は、果たしてどうなるのか。いま言えることは、その不確実性、不透明性、不安定性が、非常に高まっているということだけだ。

日本の「失われた20年」に
次第に似てきた米国経済

 「米国に対する市場の不安は、財政問題ではなく景気そのものへと移っている。景気後退懸念の要因は、年前半のエネルギー価格高騰や、サプライチェーンの混乱による自動車供給不足などに端を発する、個人消費の減速だ。市場では、米国の個人消費はもう戻ってこないのではないかという不安が、非常に強まっている」(国内シンクタンクのエコノミスト)。5日に発表された米雇用統計では、市場の予想以上に雇用者数は増えたが、失業率は依然として、9%台と高いままだ。

 結局のところ、米欧諸国はリーマンショックに伴う後処理に悩まされている。金融機関の不良債権処理に伴う公的資金の投入、景気維持のための財政支出の拡大によって、政府の債務は大きく膨らんでしまい、財政政策発動の余地は小さくなっている。

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原 英次郎 [週刊ダイヤモンド論説委員]

1956年生まれ、佐賀県出身。慶應義塾大学経済学部卒。
1981年東洋経済新報社に入社。金融、証券、エレクトロニクスなどを担当。
1995年『月刊金融ビジネス』、2003年4月『東洋経済オンライン』、
2004年4月『会社四季報』、2005年4月『週刊東洋経済』の各編集長などを経て、2006年同社を退社。
2010年3月ダイヤモンド・オンライン客員論説委員、2011年10月編集長、2015年1月より現職。
主な著書に『銀行が変わる?!』(こう書房)、『素人のための決算書読解術』(東洋経済新報社)。

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