HOME

メタボリック

肝臓

腰痛・肩こり

高血圧・高脂欠症

うつ・ストレス

ニオイ

薄毛

老化防止

禁煙

男の病気

「引きこもり」するオトナたち

「引きこもり家族会」役員の子どもの多くは
なぜ社会復帰することができたのか

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第76回】

 機体が少しずつ下降するにつれて、エメラルド色の海岸沿いに宮崎の街並みが見えてきた。日向灘に面した宮崎平野が平たく広がっている。

 3月11日の東日本大震災以降、東北の被災地を歩き続けてきた筆者は、周囲に山や高いビルが見当たらないような湾岸の住宅地を見ると、大地震の後に予想される津波が押し寄せた場合の事態を想像して、つい住民たちの逃げ道を心配してしまう。

 今年7月中旬、講演会の招きを受けて、宮崎市を訪れた。

 主催は、みやざき若者サポートステーション(以下、宮崎サポステ)。ここの特徴は、引きこもり家族会の全国組織「全国引きこもりKHJ親の会(家族会連合会)」の「みやざき楠の会」をはじめ、「コスモス会」(不登校・引きこもりの子どもを持つ親の会)、「遊学舎」、NPO法人「フロンティア会」、NPO法人「人間関係アプローチ宮崎 きらきら」、NPO法人「ワーカーズコープ宮崎支部」、「㈱ウィングルヒューマンサポート宮崎」でつくる「宮崎ひきこもりネット」の各団体が共催に名を連ねていることだ。

 宮崎空港まで出迎えてくれた宮崎サポステのスタッフに、冒頭の津波の懸念を伝えると、「日向灘は地震が想定されているけど、ご覧のように、高いビルがないから、津波が来たら、もう逃げ場がないんですよね」と話していた。

 当日の宮崎は、日が射していたかと思うと、生ぬるい風が吹いてきて、突然スコールのような雨が降り出す。ヒタヒタと近づく嵐の予感。何とも不安定な空模様だ。

 窓の外は、そんな悪天候にもかかわらず、講演会場には、約100人もの参加者が詰めかけた。

 5月に岩手県で行われた引きこもり家族会の総会を取材したとき、県内各地の支部から集まった約100人の親たちが、沿岸部を中心に津波で被害を受けた被災地であるにもかかわらず、震災のことよりも引きこもりの問題に話題が集中していたことをふと思い出す。親たちにとって、子どものことや家庭の問題というのは、それだけ切実な問題なのだと改めて思う。

1 2 3 >>
このページの上へ

池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

「「引きこもり」するオトナたち」

⇒バックナンバー一覧