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高橋洋一の俗論を撃つ!

米債務問題が解決してもなぜ円は強いのか
円高・株安の責任は政府・日銀の怠慢にあり

高橋洋一 [嘉悦大学教授]
【第19回】 2011年8月11日
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 世界同時株安、円高などで世の中は大混乱している。マスコミの報道を見ていても、いろいろな原因をその場限りで説明しているようで、どこか釈然としない。

円高をうまく説明できない
マスコミを始めとする巷の俗論

 例えば、為替は国力の反映とみる意見がよくある。素人が漠然とそう思うのはわかるが、専門家ですらそうした意見があるのには驚かざるを得ない。例えば、速見優・元日銀総裁は「その国の通貨の強いことがその国の国力や発言力に直接、間接に影響を持つ」(速水優著『強い円 強い経済』東洋経済新報社)といっていた。

 東日本大震災直後には、円の暴落という意見が多かった。その後、そうした意見に反して円高が進むと、今度は欧州財政危機を持ち出し、次には米国の債務上限問題まで取り上げて、日本が消去法で選ばれているという説明が多かった。ところが、米国の債務上限問題がクリアされても円高は止まらなかった。そこで、今度は米国債格下げになって、それでも円高は変わらなかった。ところが、米国株式市場は動揺して暴落した。その資金が、消去法的に円に流れ込んで、円高基調だと説明されている。

 その場しのぎの「滑った転んだ」という現象記述であって、どういうメカニズムなのか、さっぱりわからない。

 若干不謹慎かもしれないが、これは経済学の格好の題材だ。マスコミなどの話には、為替がどのように決まるのか、株価がどのように決まるのかという話が決定的に欠けているので、何がどうなっているかがわからない。

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高橋洋一[嘉悦大学教授]

1955年、東京都に生まれる。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年、大蔵省入省。理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、総務大臣補佐官などを歴任したあと、2006年から内閣参事官(官邸・総理補佐官補)。2008年退官。金融庁顧問。2009年政策工房を設立し会長。2010年嘉悦大学教授。主要著書に『財投改革の経済学』(東洋経済新報社)、『さらば財務省』(講談社)など。

 


高橋洋一の俗論を撃つ!

元財務官僚の経済学者・高橋洋一が、世にはびこるもっともらしい「俗論」の過ちをズバリ解説。

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