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「第二の開国」が迫る! 新興国マネーはハゲタカか

「国家資本主義」脅威論まで浮上!
世界が注視する新興国マネーの向かう先

勝又幹英 [ニュー・フロンティア・キャピタル・マネジメント(株)代表取締役社長]
【最終回】 2009年6月17日
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 “伝説のハゲタカ”鷲津政彦と中国国家ファンドをバックにつけた“赤いハゲタカ”劉一華の激突が話題となっている映画「ハゲタカ」。もうご覧になられた読者も多いだろう。

 ストーリー後半では、天文学的な資金を擁する中東マネーも巻き込み、それこそ世界経済を左右しかねない前代未聞の“マネー合戦”が繰り広げられる。果たして、最後に勝利の女神が微笑むのはどちらか――。

 気になる名勝負の行方は映画に譲るとして、この連載コラムも、今回ついにクライマックスを迎えることとなった。

 そこで最終回では、これまで紹介して来た中国や中東の国家ファンドが今後どんな投資戦略をとるのか、そして世界で台頭しつつある新興国マネーはどこへ向かって行くのかを、総括的に分析してみよう。

欧州へ向かう中国マネーと
アジアへ向かう中東マネー

 まず、世界の新興国マネーを代表する中国及び中東マネーの直近の動きは、どうなるのだろうか?

 第2回でも触れた通り、中国最大の外貨準備型国家ファンドである “CIC”は、欧州への投資に並々ならぬ意欲を見せている。国家ファンドの存在意義は、自国民の資産を投資で増殖させることにあり、投資の大原則がポートフォリオの「リスク分散」であることを考えると、このフォーカスは「合理的な選択」と考えられる。

 米国への投資については、今や「世界最大の外貨準備高大国」に躍り出た中国は、米国債の保有を通じて、経済危機の震源である米国の「最大の債権者」として十分リスクをとっており、追加的な投資は行ないにくい。

 また、アジア諸国への投資はもともと貿易取引上の依存度が高く、地政学的にも近隣に位置するため、同じ中国からの域外投資であっても、リスク分散効果は小さい。

 その点、欧州への投資は、新たな追加的投資となる上に、貿易取引上も地政学的にも、リスク管理の観点からは格好の対象となるからだ。これは、「デカップリング」された地域へのポートフォリオの積み増しと言えるため、「リスク分散効果」が大きいのだ。

 一方の資源型中東ファンドについては、しばらく苦戦が続くと見られるが、近い将来、中国ファンドを凌駕する存在に再び躍り出る可能性が高い。

 「The Middle East」という、中東情勢全般に詳しいロンドンの英文専門雑誌をご存知だろうか? 同紙は発刊以来35年を数え、競合誌のなかでは最大の発行部数を誇る。その2009年1月号に掲載された「中東国家ファンドの投資方針を再検証する」という特集記事は、まことに興味深い。

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勝又幹英 [ニュー・フロンティア・キャピタル・マネジメント(株)代表取締役社長]

東京大学教養学部卒。日本興業銀行、メリルリンチ日本証券、日本みらいキャピタルを経て、2007年ニュー・フロンティア・キャピタル・マネジメント(株)(NFCM)設立。新興国向けなどのファンド設立などを手がける。共著に「日本のプライベートエクイティ」(日本経済新聞社)など。

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