トラック「最高速度90キロ」が招く意外な弊害、最悪シナリオは「事故増加」ではない!写真はイメージです Photo:PIXTA

今年4月から、高速道路における大型トラックの最高速度が時速80キロ→90キロに引き上げられました。この変更に対し、「事故が増えるのでは」と懸念するドライバーが一部みられます。ですが、自動車ジャーナリストの筆者は「事故の増加にはつながらなさそうだ」と考えています。また、想定される「最悪シナリオ」は、安全面の他にあると見ています。事故増加ではない懸念点とは、一体何なのでしょうか――。(自動車ジャーナリスト 吉川賢一)

大型トラックの最高速度が
「時速80キロ→90キロ」になったワケ

 4月1日から、高速道路における大型トラック(大型貨物自動車)の最高速度が、これまでの時速80キロから時速90キロに引き上げられました。大型トラックの速度規制変更は、1963年に日本で高速道路が開通して以来、初めてのことです。

 大型トラックの最高速度が引き上げられた最大の理由は、「物流2024年問題」に対処するためです。物流・運送業界で蔓延(まんえん)している長時間労働を防ぐため、同じく4月1日から、トラックドライバーの時間外労働の上限が「960時間/年」と定められました。この施策はドライバーの負担を軽減する反面、稼働時間が短くなることで輸送能力が不足し、モノを運べなくなる弊害が指摘されています。

 そこで約60年間変わらなかった制度を変更し、「モノを運ぶスピードを速める」という決断に至ったというわけです。一般ドライバーやトラックドライバーの一部には、この制度変更に不安を覚える人がいるようですが、筆者は「事故の増加にはつながらなさそうだ」と考えています。

 一方で、想定される「最悪シナリオ」は他にあり、事故増加とは全く別の観点から、思わぬデメリットが生じる恐れもあると見ています。その中身を、次ページ以降で解説していきます。