ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

それでも景気の回復は続く――。
前回の量的緩和は日銀と政府の共演だが、今後は?
――森田京平・バークレイズ・キャピタル証券 ディレクター/チーフエコノミスト

島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト],森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]
【第35回】 2011年8月24日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

電力制約を乗り越えて
景気の回復はどうなる?

 当面の景気を展望する際、まず電力制約への注視を怠れない。政府は7月1日、東京電力と東北電力管内の大口電力需要家を対象として、37年ぶりに電力使用制限令を発動した(東北電力は9月9日まで、東京電力は9月22日まで)。

 さらに同月20日、政府は関西電力管内でも昨年夏比10%以上の節電を企業や家計に要請した。このように電力制約が強まる一方、原発の再稼動の時期もますます見通しが利かなくなった。きっかけは、突如始まったストレステスト。結果的に、今後の景気は電力制約の全国化と長期化という課題を背負って推移することとなる。

 こうした中、当社はメインシナリオとして「2012年4~6月期に向けて巡航速度を超える景気回復が続く」という見方を維持している。むろん、こうしたシナリオには多くの不確実性が伴う。

 しかし、心強い経済指標が先月末発表された。7、8月の製造工業生産予測指数(経済産業省)だ。同指数は7月前月比+2.2%、8月同+2.0%となり、4月に始まった生産の増加が夏場も続く可能性を示してくれた。

 しかも、この生産予測指数は、電力使用制限令発動後の7月10日時点の調査に基づく。電力制約を乗り越えて、景気回復が続く可能性は依然高い。

市場の目線は
第3次補正予算に移っているが……

 景気展望の材料としては、電力制約に加えて補正予算も挙げられる。実際、投資家との会話においても、市場の目線が第3次補正予算に移っていることが感じられる。

 たとえば、債券投資家にとっては同補正予算の歳入内訳(税収、国債発行など)、株式投資家にとっては歳出内訳(どのセクターが恩恵を受けそうか)から目が離せないであろう。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト]

しまもと・こうじ/1990年、東京大学卒業、日本興業銀行入社。調査部門で金利分析や経済予測を担当。2000年からBNPパリバ証券で投資調査本部長兼チーフストラテジストとして金融市場予測を担う。日本経済新聞社の債券アナリスト・エコノミスト人気調査の債券部門では06、08年に1位。金融庁の金融市場戦略チームや金融税制研究会、行政刷新会議の事業仕分けなどに参加。

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

⇒バックナンバー一覧