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ヒアリへの対処、症状が重い「アナフィラキシー」に要注意

井手ゆきえ [医学ライター]
【第352回】

 この5月以降、神戸、名古屋、大阪の各港で強い毒を持つ南米原産の「ヒアリ」が確認された。日本国内に定着した可能性が指摘されている。

 環境省自然環境局は、2009年に公開していた「ストップ・ザ・ヒアリ」を再度周知し、一般に注意を呼びかけている。

 ヒアリは漢字で「火蟻」と書く。お尻に毒針を持ち、刺された場合は文字通りやけどしたような痛みが走る。軽症の場合、刺された部分に熱感、激しい痛みが生じた後、周辺がかゆくなり、10時間ほど経つと膿が排出される。

 中等度では、刺されて数分~十数分後に、刺された箇所を中心に腫れあがり、部分的あるいは全身にじんましんが現れることもある。20~30分経っても、症状が治まらず、さらに悪化する様子があれば病院を受診したほうがいい。

 さらに重度になると、息苦しい、声がかすれる、激しい動悸やめまい、吐き気、意識障害が生じる。

 これらの症状がでた場合は、重度のアレルギー反応である「アナフィラキシー」を起こした可能性が高い。処置が遅れると生命に関わる。近くの開業医でもいいので、一刻も早く病院に行くこと。その際は必ず「ヒアリに刺された可能性」と「アナフィラキシーを起こしている可能性」を伝えてほしい。

 ヒアリの毒には、アルカロイド系の「ソレノプシン」とハチ毒との共通成分が含まれている。すでにハチ毒アレルギーがある人は、アナフィラキシー反応が出やすい。医師に相談し、症状の進行を遅らせるアドレナリン自己注射キット「エピペン(ファイザー)」を携帯しておくといい。

 軽・中等度の場合は、アレルギー症状に有効な抗ヒスタミン薬が効く。塗り薬と場合によっては、飲み薬を用意しておこう。

 ヒアリは比較的、開けた草地や公園、農地に生息する。働きアリの形態は、体長6ミリメートルから2.5ミリメートルまでバラバラだ。今のところ港湾地域での侵入情報が主だが、今後、内陸部へ移入してくる可能性は極めて高い。

 とにかく素手で触らないことが基本中の基本。珍しさに、つい手がでる小さい子供に気を配ろう。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)

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井手ゆきえ [医学ライター]

医学ライター。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会正会員。証券、IT関連の業界紙編集記者を経て、なぜか医学、生命科学分野に魅せられ、ここを安住の地と定める。ナラティブ(物語)とサイエンスの融合をこころざし、2006年よりフリーランス。一般向けにネット媒体、週刊/月刊誌、そのほか医療者向け媒体にて執筆中。生命体の秩序だった静謐さにくらべ人間は埒もないと嘆息しつつ、ひまさえあれば、医学雑誌と時代小説に読み耽っている。

 


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