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シリコンバレーで考える 安藤茂彌

日本のベンチャーキャピタル再生への道

安藤茂彌 [トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO、鹿児島大学特任教授]
【第49回】 2011年8月29日
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 夏休みを利用して日本から多くの若者がシリコンバレーを訪問してくるようになった。大学生もいれば、会社の制度を利用して短期研修の名目で訪問してくる20代のサラリーマンもいる。拙宅を訪問してきたのは、東大を出て外資系のコンサルティング会社に勤めている20代の青年である。ベンチャーキャピタリストになりたいという。私は言下に言い放った。「やめろ」。

 制度が違う、文化が違う。シリコンバレー・モデルと日本のベンチャー・キャピタルのビジネスモデルはあまりにかけ離れている。何が違うのか?リスクに対する行動がまるで違う。

 日本ではリスク分散を基本として、他のVCと横並びでおっかなびっくりで投資する。シリコンバレーではリスクを果敢にとって、狙いを定めたベンチャーに巨額な投資をする。時には、他のベンチャーキャピタル(VC)からの投資を押しのけて、リスクを独り占めしようとする。すべてのVCがこういう行動を取る訳ではないが、資金量の豊富な最有力VCが往々にしてこうした行動に出る。

 例を示そう。いまは本屋の代名詞になったAmazonの創業期の話である。インターネットで書籍を販売する着眼点はよかった。だが事業を始めてみると、書籍の配送センターを作らなければならないし、短期間で郵送するシステムも組み込まなければならない。膨大な設備資金が必要になった。

 Amazonの創業者Jeff Bezosは早い時期から、当地の有力VCであるKleiner Perkins(正式名称はKleiner Perkins Caufield & Byers)のパートナーJohn Doerrに支援を求めた。1972年創業の同VCは今までに、Sun Mirosystems、Electronic Arts、Genentech、Intuit、AOLといった多くの企業に投資してきている。John DoerrはJeff Bezosの創業者としての才能を見抜き支援することにした。そのときにDoerrはBezosに他のVCを参入させないように釘を刺したという。

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安藤茂彌 [トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO、鹿児島大学特任教授]

1945年東京生まれ。東京大学法学部卒業後、三菱銀行入行。マサチューセッツ工科大学経営学大学院修士号取得。96年、横浜支店長を最後に同行を退職し渡米。シリコンバレーにてトランス・パシフィック・ベンチャーズ社を設立。米国ベンチャービジネスの最新情報を日本企業に提供するサービス「VentureAccess」を行っている。VentureAccessホームページ


シリコンバレーで考える 安藤茂彌

シリコンバレーで日本企業向けに米国ハイテクベンチャー情報を提供するビジネスを行なう日々の中で、「日本の変革」「アメリカ文化」など幅広いテーマについて考察する。

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